★★★東京-八戸ママチャリの旅(1998年夏:13日間)★★★
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 小山、福島そして仙台に住む姉、兄を訪ね、さらに北上して青森県八戸まで、夏休み12日間の旅の記録。通勤用自転車の前後の篭に二つのナップザックとクッションシート。風情は奥さんに買物を頼まれ、荷物てんこもりの自転車をこいでいる、スポーツジム帰りのリストラ解雇された、でもそれなりに頑張っている(わはは!)中年男。
 出発前日、自転車を整備する。虫ゴムを取り替え、空気圧は通常より高めに入れる。チェーンに油をさす。よく使う前ブレーキは息子が強めに調整してくれた。サドルの高さは踏み込みで足がほぼ真直ぐになるぐらいの高さに調整。

8月11日:初日
 初日、どれぐらい時間がかかるかわからない。早めの午前5時出発とする。家の裏の女子大通りから和光市を経て68号線、17号線蕨市を通過して県庁前を目指す。浦和市駅前から岩槻に入って、左手65号線標識が目に入り、左折。気がつくと9時、もう4時間も乗りっぱなしか。さすがに乗り飽きて、小さな川の土手でお休みする。
  65号線幸手市内を抜けて、旧4号線にぶつかる。ここから4号線沿いに北上する。小山市に入って「横倉」の標識で左に入る。目の前の大きなスーパーに入って姉の家に電話する。水代わりに買い求めた豆腐を食べながら迎えを待つ。義兄の自転車に先導されて、午後1時到着。ちょっと早かったが、まずまずの走りに満足する。シャワーを浴びて、しばらく昼寝。夕食前に車で小山市内を案内してくれた。今日は蒸し暑い一日だった。

8月12日:2日目
 朝食をすませて午前8時、義兄が横倉の4号線まで先導。衣川合流点を過ぎたところで、にわか雨。近くにあった神社で休憩してやり過ごす。

  暑さのせいで2時間おきぐらいにコンビニでジュースを飲む。そのうち、お腹がごろごろいいだす。今朝コンビニで食べた豆腐(期限切れ?未確認)のせい、それともジュースばかりで固形物を食べなかったせいか? 国道脇の林に潜り込み環境汚染する。丁寧に埋め、すっきりして4時。ここは今日の宿泊予定地の黒磯だが、まだ先まで行けそう。

  ここから道は全体的に上り調子、きついところは自転車を引いて上る。6時すぎ新幹線新白河駅着。旧白河駅まで行くが駅前は寂しい限り。戻って新白河駅周辺のビジネスホテルを探す。しかし、2軒とも満員御礼!! わおお、これで今日のお宿は駅にきまりだ。

  野宿を一度経験したかったが、これまで機会がなかった。不安半分だがチャレンジ。トイレ、水道完備の駅は初心者向けだ。駅舎西口の軒下を今日の寝床と決める。宿が決まったら、駅前の回転寿司で腹ごしらえ。目の前はタクシー乗り場、10時すぎタクシーもいなくなり静かになった。さて、寝るとするか。始めての駅軒野宿の感想は?ええ、疲れのせいでぐっすりとやすむことができました。

8月13日:3日目
 5時半発。8時に郡山市通過。途中で雨にあったがしばらくコンビニでお休みしてやりすごす。高曇り、昼には次兄が住んでいる実家(父母とも既に他界)福島市着。

  昨日と今日の走りでお尻の付け根あたりが痛くなってきた。シャワーそして洗濯をすませる。義姉が用意してくれた[桃]は格別の味がした。ちょうど仙台から来ていた姪夫婦と兄夫婦の車に乗ってお墓参りをする。夕飯までDTPを仕事にしている姪のだんなとしばらくパソコン談義を楽しむ。少々得意になってしゃべりすぎた。反省。

8月14日:4日目
 8時半出発。兄が言ってたように藤田の上りが結構きつい。それに引き替え、上り終わってからの下りはもう楽チン楽チン。これが自転車のいいところ。

  しかし、今日は日差しが強い。この暑さに少々ばてぎみだ。体力温存のためと岩沼のコンビニでジュースついでに日陰にシートを敷いてお昼寝とする。ところが、通りかかった親切なおばあさんが店員さんに「中年男が倒れているよ!」というようなことをおっしゃったようです。店員が心配してお店からでてきてじっと私を見ているではないですか。[大丈夫ですよん。]あわてて、合図する。

  休憩後、気をとりなおして、超暑い中を出発。3時ちょうど東北大通研着。学生時代にお世話になったN先生、W職員を尋ねるが、みなさん夏休み中で会えなかった。まだ時間がある、古川まで足を延ばそう。

  途中自転車野郎と一緒になる。小雨が降り出す中を抜きつ抜かれつ、最終的には追い抜いて(という場合もあるのだ)7時近く暗くなって古川駅着。目の前の交番でホテルの地図をいただき、電話で近くのビジネスホテルに予約をとる。

8月15日:5日目
 5時半、ホテル前のコンビニで朝食。賞味期限を確認せずに食べたおにぎりのせいか、昼近くになってお腹の調子が悪くなってきた。疲れで胃が過敏になっている。

  結局、今度は橋の下で環境汚染してすっきりした。毎日の自転車こぎでおしりが痛い。いいかげんに休もうっと。ファミリーレストランの鉄火丼とパンケーキとドリンクバーで一息つく。これで少し元気がでた。

  昨日の安易なホテル泊に反省して今日は断固野宿の腹づもり。地図に出ている公園なら何とか泊まれるだろう。花巻を通過して5時。城山公園は国道からちょっと入った小高い丘の上にあった。園内を歩き回るとキャンプ者向けのりっぱなバンガローがあるではないですか。小屋内はコの字形に床が張ってある。今日のお宿は寝心地がよさそうだ。お世話になります。 

8月16日:6日目

 6時、昨夜からの雨は止みそうにない。雨がっぱスタイルで出発。走ると汗で中から濡れてくる。盛岡駅まで一気に走って駅舎で一休みする。

  昨夜からのまだ寝ている若者の一団もいる。私は遅寝、早起きと他人に迷惑をかけないというのが貧乏旅行の鉄則と胆に命じている。今頃まで寝ているやつらは失格だ。

  朝食は駅売店の暖かいカレーとする。止みそうにない、雨の中を出発する。一戸町はやけに細長い。4号線最高点483mの看板から強烈な下りにはいる。この峠を越えて雨もあがってきた。ここで、青森市は日程的に断念し八戸から三陸海岸を南下とする。

  4号線から104号線に入る。八戸に入る手前の登り下りは疲れた体にきつい。通りがかり、うらぶれた神社を見つけた。きょうは趣向を変えてこの神社をお宿とさせていただこう。夕食は回転寿司。通りかかった八戸温泉350円も利用させていただく。駅のベンチで日記をものする。

  たまたま話しかけた自転車おじさんは180km/1日ときいて驚く。こちらは、必死に走って150kmどまり。今日のお宿は神社の高床の上。ところが床が傾いていて下手をすると落っこちる。落ちたら怪我をしそうだ。背中のシートの片側に持参の草履を突っ込んで転がり止めとする。さらに用心のため自転車を床にくっつけて止めておいた。

  気を使いすぎで良く眠れなかったのはいうまでもない。あはははは。そのうえ、雨具を着て寝たのだけれど朝方の冷え込みで寒くて目がさめてしまった。

8月17日:7日目

 5時起床、八戸駅へ。まだ駅舎も開いていない、トイレの入口も閉まったままだ。素通りして本八戸に向かう。こちらがメインの街だ。敬意を表して本八戸駅を訪問し、トイレを拝借する。

  朝食は豆腐とおにぎり。喉が渇いた時には水代わりに豆腐を食べるとよいと聞いたことがある。これまで毎日1丁づつ食べてきた。もちろんそのために醤油も持参した。確かにおいしく水がわりになるが、1日2度となるとさすがに遠慮したい。それと黒磯環境汚染事件から豆腐の賞味期限には気を使うことにしている。

  9時に久慈に入りたかったが11時に久慈についた(なにいってんだか)。今日は猛烈な暑さだ。2時間おきに500mlのジュースを飲むが小水なし。黒崎の登りでばてばて。4時過ぎてやっと北山崎。ここは食事に期待して民宿に泊まる。ほや、めかぶ、ほっけ、さしみ、ほたて、てんぷらなど久しぶりに海の幸を堪能。

8月18日:8日目
 6時起床、北山崎展望台まで散歩して朝食。今日の予定は? 釜石までのつもりです。ここ三陸海岸沿いの道は昨日もそうだったが登り下りが激しい。走り出して2時間もしないのにかなりの疲れだ。

  鳥越から峠を越えて国道45号線にでる。国道に出て道は大分楽になった。この辺りから足に疲労がたまっているので登りは基本的に歩くことにした。瞬発力が落ちているので無理な登りは疲れを増すばかりだ。歩くことと自転車をこぐことを適当に繰り返すことでかえってリズムが出てきたように思う。高曇りで暑さもそれほどでないのが救いです。

  今日は天候と相まって、久しぶりに食堂でラーメンを食べた。水は3回おかわりした。いままで何度ラーメン屋さんを見たことか。ぜんぜんその気もなかったのに。

  6時をすぎて釜石市内に入り、やれやれ。今日も駅泊。JR駅と私鉄駅間にコインロッカーが2列、その隣に5連の椅子が背中合わせで2列。椅子はセパレートタイプなのでこの上に寝ることはできない。コインロッカーの陰か椅子の下が寝床の2大候補。コインロッカーの陰は薄暗くて(寝る分には何の支障もないのだが)不気味なので、見え見えのちょっと明るい椅子の下で休むことに決定。持参のアイマスクが役にたつ。

8月19日:9日目
 釜石駅出発からしとしと雨が降り出す。しばらく走ると汗と雨が相まってずぶ濡れだ。その上、この道は登り下りがあるのでどこまで行けるか不安になってきた。雨の中立ちんぼで食べるのはいやだし、体も冷えてきた。ほかほか弁当やさんに飛び込んでゆっくり食べさせていただく。

  昼を過ぎてやっと雨もあがり、志津川駅には5時到着。近くの大型スーパーでインスタントラーメンとねぎとろご飯を購入する。駅舎で日記を書いていると女性の駅長さんに6時にここを閉めますよと宣告される。

  予告通りトイレと駅舎が施錠された。駅の軒下で寝袋を出して寝る用意していると、タクシーの運転手さんが地下通路なら暗いし寝るのにいいよと教えてくれる。10時過ぎ、乗降客の出入り口は解放されている。列車がないのを確かめて地下通路にはいる。場所的にはこれで完璧と思ったのだが、夜中ぶんぶんと蚊がうるさかった。

8月20日:10日目
 昨日、駅近くのコンビニで仕入れたバナナとパンで腹ごしらえ。5時出発。2度ばかりきつい坂があったが、あとは平坦な道でどんどん進む。川沿いの気持ちのいい道だ。自転車道も整備されている。

  ところが、仙台市に通じる8号県道に入ったとたん狭い道に苦労する。歩道がないのでダンプや大型トラックにひやひやだ。天気晴れ、猛烈な暑さだ。ジュースは飲んでもトイレ不要。ここから、一旦4号線にでて仙台市八乙女方面に入る。

  八乙女駅で南中山方面への道を尋ねる。駅の女性職員が美人の上に超親切、ありがとうございました。長兄の家を目指して、頂上の大仏さんまで自転車を引いて登る。家を特定できず、近くの喫茶店から電話をして義姉に迎えにきて貰う。おふろに入ってさっぱりした。洗濯も全自動でしっかり、自転車の整備もすませて、兄の帰りをまつ。

8月21日:11日目
 昨日までの野宿で疲れが溜まっていたようだ。昨晩はぐっすりと眠った。朝食後兄の自転車の先導で八乙女駅に通じる道へ。ここから、岩沼まで快調にとばす。4号線、坂道がないのと歩道がしっかりしているので走っていて気持ちがいい。

  岩沼から、国道6号線に入る。天候は薄日がさす高曇り。ここで背中に北海道のペナントを付けたマウンテンバイク野郎としばらく並走する。食事は時間を決めずに、喉が乾いたら、またはお腹がすいたら、パンかおにぎり+ジュースとしている。喉が乾くのでジュースだけでもいいのだが、体力消耗も考えてパン、おにぎりなど固型物と一緒に食べるように心がけた。牛乳は私の場合おなかごろごろで合わないので敬遠し、もっぱらオレンジ、りんご、紅茶、コーヒー、豆腐、ヨーグルトを飲みもの系とした。

  6号線は昨日までの登り下りの苦労が嘘のように平坦でとてもうれしい。今日は富岡、夜の森公園とする。駅と公園とどちらにしようか迷ったが、幅広のベンチが駅舎の外にあり使えそうなのでこちらに決める。

  駅前には小さな万屋さんとスナック。用もない若者が10時過ぎまで大声で騒いでいた。田舎の駅は若者の社交場。タクシーも待っているが乗る人はいない。ベンチは背もたれ側に少し傾斜しているので寝ていて転がり落ちる心配はない(八戸の神社と違ってね) 長いベンチで2人分はゆうにある。

  駅前の木が茂っている自転車小屋附近は変な虫がいて草履ばきで涼んでいたら、瞬くうちにさされて2.3箇所から血がでてきた。気をつけること。夜中蚊のブーンという音がしたがうとうとしているうちに寝てしまった。なかなかの寝心地であった。

8月22日:12日目
 5時半出発。平市付近は平坦な海岸沿いの幅広の道が延々と続く。今までの遅れを取り戻そう。とにかくこぎにこぐ。打って変わって日立市に入ると急な登り下りが続いていやになる。

  今日はツーリング細タイヤの自転車野郎を追い抜いたが、30分もしないうちに追い抜かれた。専門家にはかなわない。高曇り、気温は高くないので汗はそれほどかかない。時折吹く向かい風がじゃまをする。

  きょうはなぜかお尻のほっぺが痛くなる。ガソリンはここに入って79円、今回の旅行の最北端八戸では90円だったから、ここ関東圏と10円の差がある。

  駅前のロッテリアで夕食のハンバーグを食べながら、明日の予定を考える。目の前にはビジネス旅館があるが、今日も野宿。駅前公園の屋根付きのベンチが寝床だ。公園の池をはさんで向こう側に交番が見える。回りが暗くなったのを見計らって寝袋に潜り込む。東京まで100kmを切った。順調に行けば明日はわが家の布団で寝れるはず。
 
8月23日:13日目
 5時半発、駅前交番の前でバイク野郎が警察官をおちょくっている。わざと大きな排気音を立てて交番の前をぐるぐる回っている。たまりかねて警察官が交番を飛び出し、パトカーで追跡する。こういうアホ野郎に突き合わされる警察官も気の毒だ。その駅前周辺をボランティアの人達数名が熱心に掃除をしている。このアンバランスはどうしたことだ。

  土浦付近の高架は自動車と並走なので気をぬけない。速度をあげてどんどん飛ばす。環状7号線に出てやっと一休みだ。ここから新青梅街道まで電車との立体交差、登り下りがうらめしい。何回も、それこそ何回も登り下りと道路横断を繰り返して、わが家への道、新青梅街道に出る。天気良好。午後2時過ぎわが家着。仙台、小山、福島に無事家に到着したことを電話で報告する。

 このあと、2日間はそれこそぐちゃーっと寝てばっかし。やりつけないことをやるとこうなる。もう当分自転車にのりたくないです。

-おわり-
 
◆装備等
 クッションシートは山行で使っていた、幅40/長さ100cmの背中ぎりぎり版。アイマスクは明るい駅で寝るには必携。前かごと後ろかごの荷物はワンタッチひっかけゴムバンドで完璧。予備のブレーキワイア、空気入れ、パンク修理セット一式。帽子は日除け用と雨避け用キャップの二つ。そして雨具、寝袋(シュラフカバー)、地図、磁石、着替え一式、その他。

 急な坂のメインブレーキは前ブレーキを使った(前もってきつめに調整しておくことが肝要)。後ろブレーキはバンドブレーキなので効きが遅い上に急に効く、その上いやな音がするので補助ブレーキとして使用した。自転車の清掃、タイア空気の点検、雨後の給油は毎日かかさず。初日、2日目に空気圧が少し減っていたのでポンプを使用したが、その後、空気圧の減少は殆どなく、パンクも経験しなかった。

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