★★★冬遍路(本編)寒かった!!(37日間)★★★
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◆徳島県

◆夜行バスにて徳島入り

1月11日(日):初日
 バスは予定より早めに徳島駅に着いた。雨しとしと。JR阿波大谷で降り、1番霊山寺手前の奥の院というお寺(種蒔大師)から歩き始めた。靴はカミさん手作りのスパッツの効果もなく、間もなくびちゃびちゃになった。霊山寺前の売店で服装、用品を整え、本日は1番霊山寺〜5番地蔵寺まで。昼2時過ぎに地蔵寺近くの森元旅館にどぼんする。天気予報では明日も雨が残るのでペースはゆっくりにする。えーと心配した?お接待も無く、お返しの消しゴムはそのままの状態です。遍路道標識は注意していないとすぐ見失います。今日は一回迷って30分ぐらいロスしました。お参りは先ず納札(名前と住所の記入欄がある)を本堂と大師堂の2ヵ所に納めて、それぞれ般若心経を読みます。最低これから88x2回は読むので、そのうち空でいえるようになるでしょう?お経を上げたら納経所で納経しましたというお寺さんのサインをもらいます。なかなかオモムキのある筆使いでジャパニーズを実感させてくれます。雨で出足を挫かれた格好ですが、長旅なので焦らずのんびり歩きます。今日の行動食は通りがかりのお店で買った太巻き寿司、持っていった干し柿4コでした。夕食はなんと4時に出たー。今日は夜が長い。でも、8時には寝るつもり。
 
1月12日(月):2日目
 旅館を朝7時に出た。雨が止まず、昨日と同じくしとしとぴっちゃん。まもなく乾かした靴下もびちょびちょになる。今日も長くは歩かないので、気にしない、気にしない(ということにしておこう)。6番安楽寺へ行く途中、何故か白い犬君が先導する。やめてよ!といっても通じる訳はない。15分程びくびくしながら歩いてしまった。コワイヨー。お昼に9番法輪寺。途中たまたまハガキを買ったお店で渋茶を一杯お接待していただきました。ラッキー。さっそく蛙のマンガ入り消しゴムをお返ししました。昼すぎ、10番切幡寺でやっとお日さまが顔を出す。しばらくびちゃびちゃの靴下を日に当てながら、朝方コンビニで買ったおにぎりを食べた。途中に郵便局があったので20万円もおろした。だってお金持ってないと不安なんだもの。これで当分大丈夫だ。しかし、ここからが長かった。歩いて土手に出る。吉野川だ。潜水橋が工事中で渡れないので、大回りしなければならない。1時間以上余計にかかった。これも修行のうち(と思う)。3時半にやっと11番藤井寺に着いた。これから山越えだ。山門前の「ふじや」のおカミさんに聞くと、途中に柳水庵がある。電話で聞いてみたらと云われたので電話したが、道は雪でびちょぐちょだから止めときなさいと注意される。「ハイ」ということで今日の宿は「ふじや」さんにしました。明日は山越え、5〜6時間が相場らしいので早出しなくては。
 
1月13日(火):3日目
 昨日、一昨日とちょっとさぼったので、今日は頑張って11番藤井寺→12番焼山寺→13番大日寺まで行くことに決めた。早朝5:30、懐電を灯し山道に入る。中々不気味ではあるが、1時間半ほどで長戸庵に。雪も残っており、焼山寺まで上り、下りが激しくちょっとバテ気味になる。焼山寺では名前に反して雪が降ってきた。道も積雪10cmくらいでザクザク。約5時間。えーとここからが、またまた長丁場だ。山を上り、下り、峠を越えて歩け歩け、靴の中は例のごとくピッチャンコ。昼を過ぎてやっとお日さまが顔を出す。途中の村で昨日書いたハガキを投函する。ここでアンパンを買って食べる。アンコがたっぷりで元気がでた。しかし、大日寺に夕方5時まで着けるだろうか、不安になってきた。もうこうなったら行けるとこまで行くしかない。3時、神山。やったあ。ここからなら1時間もすれば何とか行けそうだ。電話で寺の近くの「名西旅館」に予約を入れる。そして、いたたたたっの足マメ約5個をテーピングして歩きだす。4時半大日寺に納経し、その足でお向いの宿に入る。かの萩原健一とおカミさん一緒の写真が大きく出ている。風呂に入ってからマメの手入れをする。針に糸を通し糸にタイガーバーム(消毒のつもり)を塗る。これでマメを通し水を出す。糸に水がしみ込んでマメがつぶれる。ちょっと痛いが。明日の調子はどうだろう。今日少し歩いたので明日はペースを落とそうと思っています。天気が今一つなので足マメができ易い。あーした天気になーれ。
 

1月14日(水):4日目

 今日はそれほど長く歩くつもりはない。行ける所までということで朝食後7時すぎ旅館を出た。14番常楽寺、15番国分寺、16番観音寺、17番井戸寺までは難なくクリアーする。まだ10時ちょっと過ぎ。ここでお腹がゴロゴロする。あわてて寺のトイレにとび込む。しかしノブを引くと詰まっていた便器から水があふれてきた。便器の故障だ。アレー(ゴメンネ)。女性用を借用して事なきを得る。その後順調なところをみると、昨日お茶をガブ飲みしたのが原因のようだ。ハンセー。今日はここ井戸寺からが長いのだ。3時間以上高速道路沿いを延々と歩く。しかし、今日は久しぶりに高曇りで雨もない。乾いた靴で歩けるのがうれしい。マメが少々痛いけど気持いい。18番恩山寺では私の頭の毛の少なさをみて僧侶と勘違いしたのか納経料300円をお接待してくれた。お返しにトーゼン消しゴムをあげた。そういえば朝出てからしばらく行った所で小学生の男の子3名が「おはようございまーす」と元気にあいさつしてくれたので、お礼に1コずつあげてしまった。まだ30日以上もあるから急いであげる必要もないか。しかし今日の最後の19番立江寺までの1時間で本格的な雨になってきた。エーンまた靴が濡れてしまった。でも宿で洗濯機を借りて3日分洗濯したぞ。マメの手当てをして、さあー明日の予定でも立てようかな。旅館「ちとせや」にて。
 
1月15日(木):5日目
 今日は朝からしっかり雨。朝食はおばあさんの手作りで生卵、海苔、梅干し、佃煮という質素なものでした。息子夫婦は学校の先生で孫が遊びに母屋へやってきます。(母屋=宿)「息子は休みでも学校に出かけよるんよ。卓球部の監督やっとんのさ。」ということでした。今日は雨具を着て完全武装です。2時間ばかり歩いたところで目立たないお寺があったのでふらっと入ってみると、そこの住職さんが私を見つけて近寄ってきて言うんですよ。「お遍路で一番大変なのは雨なんよね。そう、もォー大変なんよ。私もお遍路したけどお腹が空くのは何とかなるけど、とにかく雨は大変。」手を取らんばかりに歓待してくれて、お堂にお供えしてあったみかんを8コもお接待してくれました。行動食のパンを買いに入ったコンビニでは、若い女性の店員さんに励まされてこれもうれしかった。今日のお寺は二つとも山の上で、上って下りてを2回しました。2つ目の21番太龍寺へ向かう登り口では、頼みもしないのに犬がお伴してくれました。あまりうれしくないんですけど。やけに親切(っていうのかな?)で私を先導するのよ。先に行き過ぎて私が見えないと戻ってきて顔を見てまた先導する。最後山門近くになったらじゃれついて何か要求するんよ。こんにゃろ手かけんな泥でヨゴレルじゃんか。そのまま無視してずりずり山門をくぐったらあとは帰っちゃった。ごほうびをねだったのかな。今日は午後の3時半坂口屋さん着。ゆっくりできるどオー。
 
1月16日(金):6日目
 今日は朝7時に出発して夕方5時半「民宿杉本」に着いた。ちょっと歩きすぎたかな。久しぶりに天気が良くなったので少しがんばってしまった。22番平等寺まで7.5km、23番薬王寺で21km、ここ牟岐(むぎ)駅まで15km、合計すると43kmも歩いたことになる。もっと近くにしたかったのだが、薬王寺から牟岐駅まで生憎宿がないのだ。駅前はしっかり田舎の駅前していて学生がうろうろしていた。学校帰りの高校生の雰囲気である。今日は国道沿いでみかんを売っているおじさんに挨拶したら伊予かん2個お接待してくれた。今日はひたすら国道を歩いたのでハプニングもニュースもない。あっ平等寺でサインしてくれたのは住職のおカミさんかな。きれいな人(こういう時はだれでもそう見えるのかな?)だった。宿のおカミさんも美人だった。そうだ今日は美人の日だ。行動食は蒸しパン3個と伊予かん2個。うん、夕食はさしみと切り身の煮魚とトンカツとカキの酢の物という不思議な組み合わせだった。ごはんは2.5杯ぐらい食べた。さてこれから足マメの手入れをして寝るぞ。TVはお金がいるので見ない。ここから難関の24番最御崎寺、室戸岬を目指すのだ。今、足マメの手入れを終えたところ。ちょっとひどくなったけど。何とかなるでしょう。では叉、、、まだ6日目
 
1月17日(土):7日目
 今日は24番最御崎寺までの距離をひたすら縮めるだけ。あと残り15kmまで来た。ロッジ「尾崎」が今夜の寝ぐらです。にこにこ顔の愛想のいいおばあさんです。昨日に引き続き今晩も私一人だけです。ここはサーフィン宿ですが、波が高い割に今日の波はぐしゃぐしゃなのでサーフィンには向かないそうです。ついつい身分を明かして、よもやま話を問わず語りにしてしまいました。何と今日は1+3連お接待で伊予かんを10個ももらってしまった。最初は道端の「みかん売り」のおばさんに、2回目はたまたま3人のおばさんがお店を出していて、一人がくれたら他の二人のおばさんもお接待の3連お接待というわけ。眼鏡拭きを皆さんにお返ししました。午後の3時ぐらいまでは高曇りで歩くには絶好だったのですが、夕方になって雨が降ってきて、宿に入る時は濡れねずみでした。足マメは少しづつ悪くなっています。明日はゆっくりして少し回復を待とうかなと思っています。(思ってるだけで、ついつい行ってしまう) 夕食は食べきれないぐらい沢山出ましたが。結局すべてきれいに食べ尽くしました。おいしかったです。二階の窓からは海が見えます。波の音をまくらに今日寝まくるど。明日は6時起床、7時食事、7時半出発ってとこかな。
 
1月18日(日):8日目
 今日は24番最御崎寺と25番津照寺の二つだけで民宿「うらしま」に泊まることにした。昨日まで少しハードだったので息を抜くつもりだった。でも、短い割にはかなりつらかった。足マメがパンパンになって痛くて歩けないのです。でも午後3時にたどりついたし。4時には風呂にも入ってサッパリしたし、明日は何とかなるじゃろう。少しペースを落とした方がいいかなと考えてる。今日は歩行距離でたったの25kmだ。室戸岬が近づくにつれ沿道沿いに人が出ている。室戸岬一周駅伝だと先導車がスピーカーで叫んでいた。何と最終走者がバイクの監視車(そう書いてある)に追いかけられている?太めの女の子が必死に走っている。手をたたいて応援してあげたら会釈してくれた。うん私〜お大師様がついてるからね。両足の小指もマメがひどく、まるごと水膨れ状態。テーピングをもっときっちりしないと歩けなくなりそう。今日はお接待がなかったのでさびしい。えーっ、期待しちゃいけないんだ。昨日のお接待の残りの「いよかん」がまーだ3個も残っているよ。(今日は2個食べた)夕食後のデザートですべて消化するのだ。行動食は昨日の残りのミルクパンでした。夜はすき焼き風うどん、さしみ、酢の物、お漬け物と有り合わせ田舎風。無口なおじさんと気っ風のいいおばさんでした。今日で8日目。まーだ1/4。急がずあわてず。


◆高知県


1月19日(月):9日目
 昨日は足を引きずって宿に転がり込んだ。今日ちゃんと歩けるかどうかすごく心配した。でも休養をきちんととったことと、昨日のマメの手入れがうまくいったことで思ったより順調に歩く事ができた。今日の宿は27番神峰寺下の「浜吉屋」です。宿に入る前にちゃんと神峰寺まで往復してきました。こちらに来てから若干下痢気味です。理由は???ですが、喉が乾くので水をガブ飲みするせいかもしれません。昼近くになってちょっとおかしいなと思った。なんと、目の前の建築中の家の前に仮設トイレがある。早速借用してしまった。今日は職人さんがお休みらしく誰もいないと思ったら、向かいの車から出てきたおばさんと目が合ってしまった。「すみません。」と頭を下げたら、向こうも変な顔をして頭を下げた。ちゃんとここにトイレがあったのはお大師様のおかげですね。今日つらつら家のことを考えたのですが、もしかすると会社から私に電話が入っているかも。しかし無視してください。そのために休みをとったんだもの。今日は天気は良かったけれど風が強くて寒かったです。今、天気予報を見てたら高知ではかなり気温が低いらしい。歩いている分には関係ないけど寒くてゆっくり休めないのがちと困ります。さあこれから可愛い私のおマメちゃんの手入れをしなければ。
 
1月20日(火):10日目
 今日は「無料接待所」に泊まらせてもらっています。今、離れのお風呂に入らせてもらったところです。どんなところか経験のつもりです。世の中にはこういう人もいるんですね。おばあちゃんに紹介されました。息子夫婦とその子供もいましたよ。大家族っていうんですね。昨日に比べて今日はさらに冷えました。水たまりに氷が張っていました。手袋、マフラースタイルで出発。風は昨日ほど強くはなくて日中は日も出て暖かく感じました。ただ気温はかなり低く、手がかじかんでお金の勘定がうまくいかなかったりしました。今日は何のニュースハプニングもなくただ歩いただけでした。まっ、この宿がハプニングといえばハプニングです。もう一つの宿があったのですが、コースから少し外れるのでコースの途中にあるここにしました。ここには九州に妻を残して働いている75才の男性や、無一文で一周して再びここに戻ってきた人や、何か知らないけど、修行している人などがいて、一緒に御飯をいただきました。久しぶりに植物繊維の食事で大変美味しかったです。ここで働いている男性の話を聞いて、私も少し働きたくなったので4日ほど働かせてもらうつもりです。足のマメもちょっと痛いのでその治癒も兼ねてです。ちょっとここ2.3日ハガキ出す余裕がないので心配かけて申し訳ありません。体調の方がまあまあですのでご心配なく。でもどんなことすんのかな楽しみ。
 
1月21日(水):11日目
 今日は農作業第1日目です。初めに荷物運び。その次に芋掘りです。数日雨で畑がぐちゃぐちゃで掘れなかったのですが、ここ2、3日の好天で芋を掘ることになったようです。先ずトラクターで畦を起こします。そのあと居候の3名が芋の土を払いのけて篭に収穫します。外国産の花の芋で今年の夏前に植え込み、開花、収穫して売るそうです。植えつけは3月ぐらいなので今が芋掘りの時期だそうです。でも人手が足りなくて作業が中々進みません。私のような素人でもちょっとは役に立っているといったところです。芋は掘った後大芋の周りに付いた小芋をきれいに残すようにするので、一個完了するのに1〜2分かかる人手のいる仕事です。作業は午前8:00〜12:00まで、午後1:00〜3:00、お茶の休みが入って、5:30で終了。そしてお風呂です。皆さんが最初にというので、今日は私がトップしました。昨日もそうでしたから二連ちゃんトップですね。何の意味もないのですが。一応ここには24日まで滞在して25日の朝に出るつもりです。いい空気を吸って、おつけもんとみそ汁とごはんをおなか一杯。小中学生のころの生活が甦ってきます。足マメは一日おいたので大分良くなりました。25日は大丈夫しっかり歩けるでしょう。
 
1月22日(木):12日目
 今日も天気が良いので昨日と同じく芋掘り作業です。一日作業しても中々進みません。この調子では10日以上かかるでしょう。1月一杯で終了するかどうかといったところです。朝食と夕食の前に皆でお経をあげます。あっ、それからここのお父さんお母さんと我々作業員が一緒に食事します。息子夫婦やおばあちゃんは別棟で食事するのであまり会いません。息子はトラクターで芋起こしをするのでちょくちょく顔を出しますが。今ビニールハウスを組み立てていて、そっちに掛かり切りのようです。韮も作っているそうです。ここのお父さんが発明した高温栽培法(?)というのだそうで、時々食卓に顔を出します。今日は朝から鼻水とクシャミが出て風邪かなと思ったのですが、午後からは良くなりました。あと二日作業します。夕食の後はストーブもないので、部屋に戻ると布団を敷いてそこにもぐりこみます。何も考えずにボーッとしたり、これからの行程を色々考えたりして9時前にはもう寝ちゃいます。これが3枚目のハガキです。これを書きながら前のを読み返したりしてきっと心配してるだろうなと考えたりしています。でもハガキがどっと届くからね。
 
1月23日(金):13日目
 今日は天気が悪いので芋掘りは中止で、芋むきです。新芽を一つ残して根っこを切り落とします。切れない包丁で一個が2〜3分の作業になります。ビニールで囲った部屋で石油ストーブをたきながらの作業なので、寒くはありません。単調な作業ですが5人一緒なので皆さんの話やラジオを聞いたりして退屈することはありません。12時のサイレンで昼食です。奥さんが洗濯ものをと言うので、甘えてパンツと下着と靴下をお願いしました。今日は暖かく過ごしたので風邪もひかなかったし、体調はまあまあです。あと一日ありますが。これからの天気が心配です。寒波や低気圧の通過で不安定ですね。寒いのはいいとして雨や雪が一番困ります。ここから見回すとそれほど高い山でもないのに雪が積もっています。足のマメでつぶれるか、雨で靴がぐちゃぐちゃで壊れるか、それとも体調で挫折するかがなければと祈っています。足マメは治療法も慣れてきたし、体調は精神力でカバーすればなんとか貫徹できるでしょう。夜は暇なので、珍しくというか仕方なく部屋にあった夏樹静子の面白くないミステリーを読んでいます。
 
1月24日(土):14日目
 農作業も今日まで怪我もせず、風邪もひかず、何とかこなすことができてほっとしています。今朝は氷も張って寒いので午前は芋むき、午後日が上がって多少暖かくなったので、芋掘りをしました。でも日中の気温はかなり低く風も強かったので、畑の中にカマボコ状のテントを設営してその中で芋掘り作業をしました。5日間もハガキがなく、寒波もあって、もしかするとどっかで野垂れ死にか事故にあってるか心配したですか。そしたらゴメンなさい。「へんろ」だから許して下さいね。お父さんのこったから何やってっか判らんわ、放っときなさい。そのうち連絡してくるでしょうぐらいに気楽に構えといて下さい。連絡先を知らせると雑音が入る可能性があるのでこの毎日のハガキ連絡だけでカンベンして下さい。ここは田の中の一軒家ということで近くにお店のたぐいは一切ありません。ということでここ数日間連絡がなかったことの言い訳にしておこう。何はともあれ明日25日は高知へ向けて出発します。足のマメも大分回復したので何とか高知の近くまでは行けると思っています。まだ全体の1/4回っただけだからこれからが正念場です。気を取り直してLet's Go!です。
 
1月25日(日):15日目
 5時半起床。荷物の整理。トイレを済ませ、布団を畳んで部屋の掃除をする。お父さん、お母さん(都築さんをみなさんこう呼ぶんです)には色々お世話になってしまった。みなさん(従業員)は朝食前の仕事に入っている。芋むき部屋はストーブが入っているのでそこで朝食まで時間をつぶす。朝食後お父さんが「大峰字諸経要集」という小さな経本を記念にといって下さる。私もハガキ10枚と眼鏡拭き5枚を手渡す。眼鏡拭きは皆さん用にということを付け加える。そんなこんなで出発は9:00になってしまった。足は快調そのもの。数日前の足マメの痛さがウソのようである。29番国分寺から32番禅師峰寺を打って33番雪蹊寺の前「高知屋」さんに泊まっています。5時すぎに到着したのでお参りは明日になります。氷がしっかり張って、朝、夕の冷え込みは相当なものですが、歩くにはこれぐらいの方が汗もかかず快調です。日中は日も照って久しぶりに暖かく気持のいい歩きでした。お昼はお母さんが作ってくれたおにぎりと、31番竹林寺の信徒さんお接待の大根汁でおいしくいただきました。今日は犬に2回吠えられて、1回は後ろから吠えながら追いかけてきました。お大師様に向かって何たることか。ったって犬に判るはずもないか! 当初の予定では「橋」経由で行くつもりでしたが、宿の人が舟の方が早いというので「海」経由にしました。「フェリーに乗った」とはいわないところがミソなのだ。今日は何故か快調、怪鳥。
 
1月26日(月):16日目
 今日は足の調子も良いのでもっと先まで行きたかったのですが。一人のせいか予定の宿に断られてしまいました。とりあえず36番青龍寺近くの国民宿舎「土佐」が空いていたので、そこにしました。今朝も寒く33番雪蹊寺の和尚さんが、水道出してたのに凍りついてしまったと嘆いておりました。今日は遍路道で突然、おばあさん二人からお接待で現金約400円いただきました。今日の行動食のパンに化けました。それと道を捜していたらお年寄り(男性)が道を教えてくれた上にミカン2個をくれました。ありがたいことです。峠越えではトンネル工事中の中を通って近回りしてしまいました。平成10年春開通予定のまだ下が石ころだらけのトンネルの中をずんずん通らせてもらいました。関係者以外立入禁止なのですが、仏衣の威力はすごいものです。中ではショベルカー2台が整地作業をしていました。ここ国民宿舎も4〜5人しか泊っていません。オフシーズン、不景気?どうなんでしょう。昨日泊った民宿は洗濯もしてくれた上、おいしい食事で5,500円でした。通常6,300円ぐらいが標準のようなので1,000円ほどお接待してくれたのではないかと考えています。ハガキと眼鏡拭きをお返ししました。足マメの状態も以前よりずっと良くなっています。まだ先は長いので体調に気を配りながら「へんろ」を続けていきます。次の岩本寺がまた長ーいんだ。
 
1月27日(火):17日目
 今日の宿泊は36番青龍寺から37番岩本寺までの中間点35km附近の「大谷旅館」の予定であった。PM1:00過ぎに電話したが近くの2軒ともども満員と断わられてしまった。1人と聞いてフェイントをかまされてしまったのかな(と邪推してはいけない)。これより先に適当な宿は無い。手前というとそれよりも6km手前なので歩行時間で約1時間手前に相当する。えーい今日は野宿(?)で行こう。久礼駅があるので駅舎で仮眠だ。というので駅に着いたのがPM3:30。ちゃんと売店も長椅子もあってごく普通の田舎の駅。何とか寝られそうだ。売店のおばさんに聞くともう一軒「福屋」があるといって電話番号を教えてくれた。早速電話したら宴会場の隣のうるさい部屋ならOKというので安易に方針変更して泊めてもらうことにした。今時寝袋もなく0℃はちとつらい。遍路道に入ると歩いていても人に会うことは滅多にありません。田舎道では、大抵ビニールハウスの前に軽トラックが止まっていて中からラジオ放送が聞こえてきます。そう冬の農作業はビニールハウス(Green House)なんですね。天気は午前は高曇りで日もささず寒かったですが、午後にかけては晴天でした。おかげさまで額と顔の日焼けコントラストがくっきりです。髭も5mm位伸びてその割に髪がないので田舎のお坊さんの雰囲気です。最近こまめにテーピングをするのでマメができない。一時マメで歩けなくなるのではないかとすごく心配したのですが。この調子で晴天が続いてくれれば何とか最後まで行けそうです。おーっと野宿しそこなってしまった。
 
1月28日(水):18日目
 今日は37番岩本寺一つだけお参りしました。歩行距離約40kmです。朝7:30発夕方5:30着で民宿「さかうえ」が今日の宿です。おじいさんとおばあさんが二人でやっている素朴な民宿です。洗濯物をすぐ出しなさいと勧められて下着と靴下2足をお願いしました。以前娘さんが喫茶店を出していた名残で、入口兼食堂には今風のカウンターがあります。朝出てしばらく歩いたところで、私を発見!した中年の女性が家の中に消えたかと思うと、お接待にといってりんご2個、どらやき2個、缶コーヒー1個をば、、、合掌。今、宿でそのりんごを食べています。超おいしい。今日はちょっと緊張感が薄く、ショートカットの遍路標識を見逃して遠回りしたり、地図を見ながら歩いて歩道の段差で足をひねったりしました。痛みはないので足は大丈夫です。足マメは気をつかってテーピングをちょくちょくやるのと、ノウハウを知ってほとんどできなくなりました。ちょっと痛いと感じたらそこをテーピングで固定あるいはカバーすることが肝心のようです。今日歩いた道は高知から中村までのJR線(私がここ数年よく利用した)に沿っています。2両編成の電車が時々通るのが何かいい感じです。天気は高曇りで夕方を除いて日中はほとんど日が差しませんでした。襟巻、手袋スタイルで歩きました。また次の足摺岬38番金剛福寺が90kmと超長い。ぐわんばらなくては。やっと全体の1/3?明日は長いので「おにぎり」を作ってもらって早出するつもり。
 

1月29日(木):19日目

 今日は計算によると47.5Km歩いたことになるけど夕方4時には民宿「くもも」に着きました。もっとも朝6:00に宿を出たのですが。天気が良いと食欲も出て作ってもらったおにぎり4つ、干柿2つ、ポンカン4つ、パン1個休む度に食べていました。今朝出るときおばあさんがポンカン3個お接待してくれました。これから次の宿は必ず午前中に予約するようにした。断わられると予定が狂ってしまうから。今日は懐かしい中村市を流れる四万十川を通りました。もっとも市内には入らずかすめ通ったというところです。四万十川土手には11:10に到着。しばらくお世話になった川面を眺め、思い出に浸りながらポンカンを食べました。天気はお日さまにこにこでした。これ以上焼けると皮がむけそうなので日焼け止めクリームを買おうと思ったのですが、生憎薬屋さんの前は通りませんでした。足は今朝出るときのテーピングがうまくいって修正なしで完歩しました。道路脇には無人小屋があってポンカンだの文旦だのを売っています。でも量が多いので食べきれません。こちらでは無人小屋のことを「良心市」と書いています。なかなかのネーミングですね。そういえば今日は犬に吠えられませんでした。あーよかった。こんな天気がずーっと続いてくれれば言うことなしなのですが。今日は余裕余裕。明日は足摺岬往復になります。
 
1月30日(金):20日目
 今日は同じ宿「くもも」に泊ることにして足摺岬まで往復してきました。約45kmですが、荷物がおにぎり(宿で作ってくれた)と若干の非常用品と軽いので楽ちんでした。朝6:30出発で夕方4:30着でした。天気良好、シャツ姿で歩いて充分でした。今までトレーナーを脱いだことはなかったので、今日はちょっと気温が高かったのでしょう。良心市で買った干柿やポンカンもおいしかった。足摺岬は人もまばらでオフシーズンという感じ。時折車のお遍路さんを見かけるぐらいです。帰り道で本格的お遍路さん(私と同じぐらいの年かな)と会って暫く話をしました。季節柄「歩き遍路」は少ないのでお互いに懐かしい(?)感じで話をしました。野宿だそうで寝袋一式食器など10kg以上は背負っていたでしょう。7回目と聞きました。40日ぐらいで回るそうです。宿に帰ってから時間があったので洗濯も済ませました。大抵の宿には洗濯機があって自由に使えるようになっていたり、一昨日の宿のように洗濯をしてくれるところもあります。一応パンツ2日、下着4日、靴下毎日のペースでトレナー、ズボンは適宜(無期限?)ということにしています。あっキタネェなんて云わないでね。シャツ、ズボンはこないだ一回洗ってもらいました。もうどこで洗ってもらったか忘れちゃった。高知屋さんだったかな? 体調はまあまあ。
 

1月31日(土):21日目

 今日は39番延光寺を打って、民宿「あゆ」まで35kmぐらい歩きました。朝6:30発、夕方4:00には宿についた。もう少し先まで行けたかな(とつい思ってしまう)。大抵夕食は3杯お代わり、朝食は2杯食べます。昼もおにぎり2個だの果物だのいっぱい食べます。ところが、便がー、、、少ししか出ないのです(、、、なハナシでゴメン)。どっかに溜まってんのかな。一応毎日あるので便秘ではないのですが。昨日お接待でもらったりんごを食べた。今朝行った。歩き出した。庇が出る。行ったはずなのに。しかしおかしい。ん、やっぱしおかしい。どっかないかな。たまたま目の前に神社、そしてその横になんとォトイレ。女性トイレはみえみえでガラス戸が壊れている。待ったなし!終わって出てきたら、登校中の中学生にばったり。「おはようございます」合掌。やっぱしお大師様がついている。昨日と今日の昼食は宿「くもも」さんがお接待してくれました。実は昨日作ってもらったおにぎりが大変おいしかったので正直にそのことを言ったら、今朝も作ってくれました。そして「お金払います。」といったら、「お接待です」ということでした。ありがたいことです。宿代は2日で12,000円でした。大体歩くペースが判ってきた。一日40km前後がいいところです。まだ半分いってないからね、健康に気をつけて最後までいきたい。最近一日一寺でなかなか進まない。ちりもつもれば山となるってか。

◆愛媛県


2月1日(日):22日目
 今日は何とPM2:30に宿「旭屋」に着いてしまった。早く着きすぎたので若奥さんから、「もっと先まで行かないんですか?」なんてフェイントをかけられました。「いえ、予定通りです。午後から雨の予報だったので早めに切り上げました。」なんて言い訳をしてしまった。40番観自在寺でやっと40番代に突入です。徳島・高知を終えて、ここは愛媛県です。今朝宿を出る時ご主人から100円お接待いただきました。それと宿につく手前で急に車が止まって出てきたおじさんが「お接待です」といってお饅頭5個とお赤飯をくれました。びっくり+感謝。宿を出てから宿毛市街を抜ける時、遍路道標識を見失って、30分ばかりウロウロしました。もう一度原点に戻って事なきを得ました。人が出てくるとすっとそっちへ入ってしまうこともありました。私の格好を見て違いますよと注意してくれました(子供連れの女性)。そういえば昨日三原村で日焼け止めクリームを買いましたよ。でも焼けた後では遅いんですよね。今日は曇りで日もささずでした。旭屋の前に「かめや」に電話したら、断わられドキッ。ほぼ同じ場所にある「旭屋」さんOKでホッとしました。今日は峠越えでちょっと山道を歩きましたが、ほとんどは車の通る道です。山道の上り下りはそれなりに大変ですが、平坦な舗装道路は逆に同じ位置が圧迫されるせいか足にマメができ易いようです。
 
2月2日(月):23日目
 今日はAM6:30〜PM6:00まで歩き通しでちょっと疲れましたが、元気です。民宿「みやこ」に泊まっています。50kmは歩いたことになります。午前中は犬にたくさん吠えられました。一度は、曲り角を回るとそこまで付いて来て私を確認し、また吠えるのがいました。少なくとも5回は角を曲がったぞ。20分近く跡をつけられました。頼むから鎖つないでおいてくださいよ。道の真ん中でとうせんぼで吠えるのもいます。こういう時は、ずんずん行くっきゃありません。若干硬直しながら通り過ぎるのです。夕食は寄せ鍋(チャンコかな)を3人で食べました。足摺岬で会った野宿の正統「おへんろ」さんを民宿のおじさんが引き止めてお接待したのです。そのお遍路さんが私の事を覚えていてきっと「安田さんという人がくると思う」と民宿のおじさんに予言(?)したらしいのです。私が遅い到着を詫びながら戸を開けるとおじさんが間髪を入れず「安田さんですか?」って聞くんです。びっくりしました。ということで3人でなんだかんだと語り合いました。というようなこともあるんですね。42番佛木寺を終えてもう夕方4:00。これから峠越えというのに食べ物は、昨日お接待でいただいた赤飯と非常食のカロリーメートで、ちょっと食べる気がしない。気がつくと水筒もカラッポだ。意気消沈気味で「こんにちわ」と合掌、お婆さんを追い越す。そのお婆さんが私を呼び止めて、手押し車のバッグの中からミカンを4つ!!! うわーい、涙が出るほどうれしかった。薄暗くなった山越えの峠でいただいたミカンは格別の味がした。今日は無理をしたので明日は少しゆっくりします。朝食が7:30ということで8:00出発の予定です。
 
2月3日(火):24日目
 途中の郵便局でハガキを買ったら確かに7桁になってました。旧ハガキはどう使うの?と聞いたら2段重ねで下4桁を書いてくださいとの事でした。今日は民宿「みやこ」AM8:00発、十夜ケ橋PM3:30着で超短いです。無料の宿があるから是非ここにしなさいと、かの正当お遍路さんに勧められたからです。山小屋におふとんがあるといった風情です。今日は従って風呂なし。正統さんは別の方の朝のお接待があるので、今来るのを待ちながらこのハガキを書いています。今日も犬にいっぱい吠えられました。天気予報では雨とのことでしたが、雨に会わず歩く事ができました。トンネルより1時間多くかかる山道コースを歩いたのですが、ちょっと雪があって道も濡れていました。昨日は松尾トンネル(排気ガス多し)/旧国道(長いけどいい眺め)につられて旧国道(2k多い)を選んだら、ダンプがバンバン走っていて避けるのに気を使っちゃった。排気ガスの方がましかもという感じでした。今日はコンビニでパン3個と缶コーヒーお接待していただきました。うれしい。明日はちょっと長くなりそうなので、今日は早く寝て明朝早めに出発するつもりです。
 
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月4日(水):25日目
 無料宿AM5:30出発。真っ暗でも車はばんばん走っている。左遍路道に入る頃(AM7:00)になってかなり明るくなってきた。いったん車道に出て内子町の朝の商店街を抜ける。ラジオ体操をしている一団もいる。ここから県道に出て突合の分岐まで少なくとも11時までに着かないと峠越えが難しいときいた。ちょうど11時ピッタシ着だ。おっとここに来るまで2回も缶コーヒーのお接待を受けてしまった。お婆ちゃんが焚き火をしていたので当たらせてもらってパンを食べていたら、近くの自販機で買ってくれた。暖かかった。2度めは車が目の前にずりずり入ってきた。歩道だど、ここは!中から出てきたおばさんが「お接待しますけど何が?コーヒーでいいですか?」「えっー、あっありがとうございます。」してしまった。ひわた峠は雪でずぶずぶ。キックステップなど出来る筈もなくうんせうんせ力任せで疲れるう。上りの山道はまだ良かったのですが、下りは林道に出てからがひどかった。水たまり、車のわだち、ずぶずぶ、ぐすぐすの雪、てかてかのアイスバーンのすべりんこ。悪戦苦闘1時間弱でやっと町中に出た。昨日正統さんが11時峠厳守と言ってたのでギリギリかと思ったが意外と早く夕刻4:00には民宿「でんこ」に着いてしまった。ここは民宿とはいえ高級民宿(?低級ってのもあんのかな?)らしく6,500円〜とパンフレットにあったぞ。でも部屋もきれいでお風呂もきれいで、暖房器もきちんとしてるし。きのうのお宿はタダだったし。今日は多少高くてもいいのだ。風呂上がりで気持ちいいよー。さあおいしい夕食が呼んでいる!
 
2月5日(木):26日目
 今日は44番大宝寺、45番岩屋寺そして46番浄瑠璃寺、47番八坂寺を回って「エバラガーデンリゾート」というホテル(参考書ではペンション)に泊まっています。前の2つのお寺は同じ道を引き返すのですが、PM1:30になってしまいました。予定より1時間もオーバーしてしまったので、後半2つが回れるかどうか焦りました。問題は峠を1時間で越えられるかどうかでしたが、雪道を滑りながらも走って下りて何とか後半2つをPM4:30までに(〆切5時まで)クリアーしました。うん、今日はよく頑張った。浄瑠璃寺では美人のおかみさんが納経料300円をお接待してくれた上、「お遍路道はどうでしたか?」と聞かれました。「雪が積もっていて峠を下りるのに難儀しました。」と答えて嬉しかった。何がって? はあ、美人と会話が出来たからです。ちょっと果物(酸っぱいみかんのたぐい)が食べたくて伊予かんを近くの(といっても歩いて往復30分)スーパーで買ってきました。アリァー9つもあるよ。今やっと3つ食べたけど6つも残った。重いよ。どうしよう。まっいいか。天気は良かったけど気温は低くて風も強かった。手袋やマフラーをしたりはずしたりと忙しかったです。祐介お譲りの靴は底がすり減って後半持つか、ちょっと心配。お母さんのスパッツはこの雪でかなり役にたってます。きっと最後までいけるよね。二人がついてるから。
 
2月6日(金):27日目
 今日は48番西林寺、49番浄土寺、50番繁多寺、51番石手寺、52番太山寺、53番円明寺を回った。昨日食料を買い込みすぎてザックの重さは10kgをゆうに越えて、反省。スーパーに入るとどうしても多めに買ってしまう。今度は今食べたくて、今食べきれる量を買うことにしよう。ちょっと重くて肩が痛いです。歩いた距離はお寺の多さとは比例せず、約35kmです。AM7:30〜PM5:00です。歩いている時間約9時間とすると1時間/約4kmのペースですね。一番気を使うのは大きな街の中を抜ける時です。色とりどりの標識、表示、お店に惑わされて遍路標識を見失うのです。今日は道後温泉を抜けたのですが、1本通りを間違えてしまいました。松山大学(というのがあるんですよ)の近くで通り掛かった女子学生に聞いて軌道修正することが出来ました。今日回ったお寺のうちで一番山桜(=はで)だったのが51番石手寺で、沢山の人がいました。参道の脇はお土産やさんがあって何か雰囲気が壊れちゃった。早々に退散しました。今日最後の53番円明寺から54番延命寺までは約35kmですが、今日の宿「門田旅館」は約10km点にあるので明日25km歩けば54番延命寺を打てる筈です。今日はあんまり話題ないな。ボールペンのキャップが壊れた。バナナ6本、大福2個、チョコパン2個が行動食。今までレストラン、食堂で昼食した例なし。お茶あまり飲まないこと。その代わりお湯を飲む。飲み過ぎて目が冴えちゃったことが2回もある。ああやっと埋まった。ハガキの話題に事欠いた。
 
2月7日(土):28日目
 今日は54番延命寺、55番南光坊を回りました。もう少し先に行けたのですが、ここから先に適当な宿がないのです。正統お遍路さんに教えて頂いた加納さんというお宅に泊めて頂くことにしました。午後2時半頃に到着です。普通のお家で、旅館ではありません。今日は田舎の遍路道で30分ぐらい迷ってウロウロしてしまいました。三叉路で別の道に入ってしまったのです。すぐ引き返せばいいものを、みかん畑でかなり時間をロスしました。みかん畑の道路は急なので登り降りでちょっと疲れてしまいました。その他は特に問題なしです。昨日の宿はビジネス旅館という名前で1泊2食付で7,350円。今まで7,000円台の民宿はなかった。7,350円は高ーい。何べんも云う。高ーい。天気は高曇りで雨はなし。寒くもなく暑くもなく「遍路」日和でした。ちょうど昼時は県道を歩いていたのですが、下校中の大ぜいの小学生と会いました。「さようなら」「こんにちは」お互いに声を掛け合った。田舎の(というのは変か?)子供はなかなかいい。55番を打ってGoGoです。
 

2月8日(日):29日目

 昨日泊まったのは普通のお宅で、おばあさんと夫婦と子供の家族構成のようです。どうして無料の遍路宿をやっているのですかと聞いたら、皆さんに喜んでもらえればそれでいいのだそうです。今朝出る時には「おにぎり」もいただきました。今日の天気は変な天気で、雪⇔雨⇔曇り⇔晴れ⇔強風と目まぐるしく変化しました。一番きつかったのは58番仙遊寺の上りで吹雪ました。装備はきちんとしていたので不安はありませんでしたが、横殴りのみぞれはちょっと辛いものがありました。寺の境内にうっすら積もった雪に足跡を残すのも悪くはありませんが。山を下りたらみぞれは止みましたが、今度は時折吹く強風で歩きにくかったです。電線はびゅうびゅう唸るし、交通信号灯もガタガタいって落ちてきそうで、時には車道へヨロヨロなんて。まあ前半は何とか平地に近いお寺さんばかりだったからいいのですが、明日の60番横峰寺が心配です。標高が700mちょっとあるので今日の天気で雪が積もっている可能性があります。今日は「栄屋」さんに泊まります。もう少し横峰寺に近い所がいいのですが、ここが最前線です。まだ外はびゅうびゅう風が吹いて、窓がガタガタうるさいですが、部屋は暖かくていいですね。あした天気になーれ。
 
2月9日(月):30日目
 今日は、60横峰寺、61番香園寺、62番宝寿寺、63番吉祥寺、64番前神寺を回って朝7:00〜夜7:00まで目一杯歩きました。足も慣れてきてまだまだ行けそう。ただ、夜は道の端が良く見えないので、ダンプが来るとちょっと恐いです。60番横峰寺は雪の登りでしたが、思ったより積もっていなくて、1時間ぐらいの登りで到着してほっとしました。下りも1時間ぐらいで、天気も良かったのでちょっと先まで足を伸ばしました。しめて、55kmぐらいは歩いたかな。63番吉祥寺では「私、東京の武蔵野市の吉祥寺というところから来ました。記念に何か吉祥寺という名前の入ったお札かお守りはありませんか?」「何もありませんね、、、」「じゃあ、封筒でも、、、」「はい、いい記念になります。いただきます。」といって名前の入った封筒をいただきました。今日の宿「五葉松」のおカミさんは気さくな人で食後に沢山みかんをいただきました。「歩いてると酸っぱいのが欲しくなります。」っていったら、「じゃあ、これもあげる。」といってもっと大きいみかんを3個も上積みしてくれました。今そのみかんを食べながらこれを書いています。最近脇目もふらず歩いているのでお接待がないのかな。明日も天気がよさそうなので又少しよけいに歩いてみようかな。それとも少しさぼろうかな。どっちにしよう?ちょっと歩くのに飽きてきた。
 
2月10日(火):31日目
 今日はPM2:50民宿「岡田」にドボンです。ここから先だと山越えで15km以上もあるので少し楽をすることにしました。65番三角寺は車道を上ってそのまま下りてくるあまり変化のない道でした。H350mなので雪もなく難無くクリアーできました。午前は日もさしたのですが午後は雨もパラついて高曇りでした。今日は朝小学生に会ったので「おはようございます」と何度も声をかけましたが、すべて無視されました。ここ土居町は「お遍路」を歓迎してくれないようです。他のところではこんなことはなくて大抵元気のいい返事が聞けたのに残念です。あっ今外にでて230円のアンパン5個入を買ったら10円お接待してくれました。宿の主人に勧められて洗濯もしました。今日の泊りは私だけのようです。ああ、それから今朝出るとき、五葉松のおばさんがみかん5個くれました。昨日5個もらったから計10個ももらってしまった。眼鏡をかけた愛敬のあるお顔でした。眼鏡拭きをあげました。朝の6:00に食事を出してくれました。次の雲辺寺H800mは雪が心配です。ここを越えるとあと大きな山越えや長いコースはないのでもう一がんばりです。明日の山越でもうきまった感じ。

◆香川県

 
2月11日(水):32日目
 今日の山越は雪がたくさんあってちょっと苦労しました。頂上付近は車道で雪が固まってアイスバーン状態です。靴底は減ってつるつるなので転ばないように気を使いました。下りる時も雪がグズグズで足をとられないように、ここで挫いたらおしまいと慎重に慎重に。66番雲辺寺、67番大興寺、68番神恵院、69番観音寺、70番本山寺と回って今高瀬町の宿「ほ志川」に泊っています。いよいよ最後の香川県に入りました。お接待で通りすがりのおばさんに千円いただきました。。70番を出て宿へ向かっていると道路の向かい側に「妙音寺、番外、、、」とあるのです。マイナーなのが好きなのでこういう時はなるべくお参りするようにしているのです。88ヶ所ばかりがお寺ではないのだ。お参りの後そこで草むしりをしていた寺のおカミさん(と思われる)と立ち話をしていたのです。そして道路に出て歩き出した時、ちょうどそのおばさんに会って呼び止められたのです。最初500円いただいたのでハガキをお返ししました。そしたらこれじゃ少ないからといってさらに500円をいただきました。お寺に寄らなかったら、そして立ち話をしなかったらと思うと、、、。んというか単なる偶然ですか、はい。もう山登りはないようだし順調に行けばあと5日ぐらいかなあ。今日はすごーく天気がよくて歩いていて汗ばむほどの陽気でした。顔は赤銅色、髭面も板に付いてきた。
 
2月12日(木):33日目
 今日は朝からいい感じ。天気もいいし。宿を出る時おばさんからお接待として500円いただきました。72番曼茶羅寺ではおいしいお茶2杯。そしてうれしいことに道隆寺ではクッキーと缶紅茶をいただきました。回ったのは71番弥谷寺、72番曼茶羅寺、73番出釈迦寺、74番甲山寺、75番善通寺、76番金倉寺、77番道隆寺、78番郷照寺のなんと8つ。AM7:30に出てPM4:50川久米旅館着。お寺の間隔が短いのでそれほど歩きませんでした。天気は高曇りのち晴れでした。71番弥谷寺では逆打ちの女性お遍路さんと会って立ち話をしました。「遍路」をしてるとみんな仲間みたいな感じになります。4回目だそうです。逆打ちは順打ちの3倍のご利益があるそうですが、慣れないと道路標識?が順打ち向けにできているので迷いやすいのです。私順打にもかかわらず今日1日で3回ほど間違えました。緊張感足んないと表示を見逃すんだよね。えーと予定では2/17か18ごろに帰れると思います。昨日は油断してお茶をガブ飲みしてしまった。夜、目が冴えて良く寝られなかった。といっても寝てんだけどね。今日の夕食はおかずがたくさんでたので3.5杯もごはんを食べてしまった。昼の粗食(本日アンパン、バナナ、みかん、クッキー)を補うのだ。もう一息。これからもいい天気が続くように。
 

2月13日(金):34日目

 今日は79番高照院、80番国分寺、81番白峰寺、82番根香寺、83番一宮寺と回って高松市のビジネスホテル「パルコ」に泊まります。今朝宿を出てまだ薄暗いアーケード街を歩いていたら、中年の女性がバイクでパタパタと近寄ってきて「お接待させてください」といって1,000円を。ちょっとびっくりしました。コンビニでパンを買ってたら、近くの男性がつり銭の10円をお接待してくれました。今日は早く出たかったので朝食なしにしてもらって良かったです。最後の83番一宮寺がPM4:00だったから。食事して出ると1時間遅れでPM5:00になるところだった。納経が5:00までなのでアセッちゃうもんね。今日の「パルコ」は飛び込みで決めた。高くはなさそうだったので。4,500円だった。今日の失敗は一宮寺への道を迷ったことだ。結局国道に出て大回りしたので30分ぐらいロスりました。ということでなにはともあれ早出は3文の得ってとこかな。ホテルでは下着は全て洗濯しましたよ。最近足マメも順調に回復している。今朝出る時はテーピングなしで、途中で右親指が痛くなったのでテーピングした。これだけでずっと歩くことができた。明日も少し長そうなので朝6:00頃出ようかと思う。今ネーブルを買ってきて4個も食べてしまった。ああおいしい。天気は汗ばむ陽気でちょっと歩くには暑すぎた。明日の予報は雨らしい。でもちょっとだけガンバルのだ。だんだん書くのがめんどくさくなってきたけど、ちゃんと書いてる。
 
2月14日(土):35日目
 ビジネスホテルなので朝食なし。いつ出発しても良いということで、早めに6:00に出発した。予定の87番長尾寺にはPM2:00に着いてしまった。宿は目の前の民宿「ながお路」です。84番屋島寺の手前ではお年寄りが近付いてきて道を丁寧に教えてくれた。昭和28年に戦友のために回ってからかれこれ十数回もというベテランさんで、1番〜88番まで空で言える程の人でした。次は、自転車で追いかけてきた男性が色々と話し掛けてきました。そして、屋島寺参拝の後85番八栗寺へ向かう時は、時々辺りを運動のため走っているという男性が道案内で、30分程一緒に歩きました。私も「お遍路さん」らしくなってきたせいでしょう。その男性がこの近所でも特に旨いと勧めてくれた山田屋のウドンを食べました。道中、初めての飲食店に入ったことになります。確かに美味しいし、かつ安かったので大いに気にいりました。「ぶっかけうどん」といってカツオだし風で天カスを入れて食べます。そこではお茶3杯とおつゆも全部飲みました。水分補給です。ちなみに270円。さて明日は88番大窪寺を打って、1番霊山寺へお礼参りをします。約57kmぐらいあるので一回きざみます。コースが二つあるのですがどちらにしようか迷っています。山越え一回と二回コース。宿がとれたらどちらでもいいかなと考えています。もうそろそろ&そろそろだよーん。
 

2月15日(日):36日目

 88番大窪寺を打ってこれから1番霊山寺にお礼参りして終了です。霊山寺へのコースが3つあるのですが、午前11時と比較的早い時間に大窪寺をクリアーしたので長いコースをとる事にしました。結局、歩行距離は約44kmでAM7:20〜PM5:45まで歩きました。今日はホテル「ひけた」に泊まって大坂越えか卯辰越えかで明日霊山寺に出ます。一応名前が気に入った卯辰越えで行くつもりにしてます。今日は3回も犬に吠えられたり飛び掛かられたりして困っちゃった。何度も言うけど放し飼いにしないで! ところで、赤い矢印があってこの先300m行き止まりと書いてある。道は二手に別れている。あなたならどっちへ行きますか。私は矢印方向が行き止まりと解釈して矢印と反対方向へ行きました。正解は逆。「矢印方向へ行きなさい」「矢印でない方は300m先行き止まり」ということのようです。急な坂で300mの往復はちとつらかった。これも修行(だと思わねばいけない)。さて明日は徳島に出て夜行バスで帰京となればこのハガキが最後のハガキになります。私が先か、ハガキが先かそれが問題ではない。なにいってんだか。
 
2月16日(日):37日目
 国道から右県道に入り車道を歩いて峠を越えます。山合いの道なので日が当たらず、気温も低い。卯辰峠で四国の道の標識につられて山道に入ってしまった。大麻山経由で大麻比古神社に下り、そのまま道なりに歩いて1番霊山寺につきました。かなり大回りしたのですが、朝早く出たので午前中に霊山寺につき無事お礼まいりを済ませることができました。JRで徳島にでてお世話になった人達に無事結願したことの報告とお礼のハガキを出しました。久しぶりに13通も書いたので手が痛くなってしまった。
 お世話になりました安田(はげ、無精ヒゲ、東京、歩き、順打ち)です。本日2/16霊山寺にお礼参りを済ませ、四国一周遍路の旅を終えました。前半の雨には悩まされましたが、全体的には天候に恵まれ、楽しく歩くことができました。歩いている間は完全な「お遍路さん」状態でしたが、今現在はおおむね従来通りの「ただの人」状態で、ビール飲むぞー、もう当分歩かんぞー、家に帰ったら仕事せんぞー、なんて何の進歩もない状態です。ただ、1200kmの長丁場とみなさんのお接待のこころは私の胸の奥にしっかりと残っています。ありがとうございました。
 
 夜行バスで帰京
 
終、淡、空、白、無、

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