★★★世界一周記(本編)★★★
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◆3月25日(月)成田発 17:40 UA801 香港着 21:40 Bangkok Royal Hotel(九龍)

 一番力のありそうな中2の息子には大きなザックを持ってもらおう。 落ち目の用心棒の私はちょって日和って中型ザック。渉外、財務、 ナビゲーションの大役を担うカミさんの荷物はナップザックと肩かけ鞄。 すべて手荷物として機内に持ち込めるように3人で配分した。 荷物が出てくるのを待つ時間を節約するためと、手違いで荷物が どっかへ行ってしまう危険を避けるためである。

 今回の駆け足旅行では、持っていくものを厳選した。 衣類がいちばんかさばる。防寒衣は一式のみ、下着類は2〜3日分、 現地でこまめに洗濯することで余分を持たない。 (足りなければ現地で購入する。カミさんは、香港ではやばやと 下着を買っていた。いい品質のものが安いとご機嫌だった。) 食料、医薬品、装備等は、これまでの長期山行の経験が大いに役立った。


◆重要書類
 パスポート 航空券 旅行保険証 スケジュール表 マイレージカード UAオフィスTel  予約確認証 キャッシュカード T/C ガイドブック 顔写真予備
◆共同用品
 蚊取り線香 魔法瓶 ナイフ(プラスチック) スプーン 箸x3 コップx2  タッパー トイレットペーパ 懐中電灯 磁石 投込ヒータ チェーン錠 洗剤  物干ロープ 目覚時計 洗濯ピンチ ワイアハンガー シャンプー ゴム手袋  ビニール袋 輪ゴム 電卓 カメラ ウェットティッシュ
◆各自持ち物
 傘 帽子 サンダル 寝巻 靴下 Tシャツ トレナー 短パン 上着 下着  歯ブラシ タイツ 手袋
◆常備薬等
 頭痛薬(バファリン) 胃薬 征露丸 持病薬 バンドエイド 消毒綿 日焼け止め  タイガーバウム ハンドクリーム
◆食料
 カロリーメイト インスタント味噌汁 ひたし餅 醤油
◆その他
 スカーフ バンダナ メガネ シャワーキャップ カーラー  裁縫道具 ライター カメラ 万歩計 髭剃り 乾電池 タオル アイマスク


 航空券は成田oo番窓口で受け取ることとなっている。 指定の窓口で航空券を受取った後は、出発まで約2時間何もすることはない。 預ける荷物も無し、たんたんと出発時刻を待つ。ほぼ定刻に出発した飛行機は、ほぼ定刻に香港に到着する。何はともあれ、先立つものはお金だ。空港両替所で5千円札を差し出すと、 両替は1万円以上と突っ返される。ん、ちょっと過激な倹約ぶりかな。

 夜9時、自力でホテルまでたどりつかなければならないので、 用心棒としてはちょっと緊張している。夜は人を不安にさせる。 バス乗り場への案内標識を頼りに、空港建物を出る。照明光の明かりが眩しいぐらいだ。 ホテルは予約済みなので交通機関だけが懸案事項だ。

 足回りはタクシーではなくて、極力公共交通機関あるいは徒歩が原則と、 私が勝手に決めている。現地のバスや地下鉄を利用するには、 それなりの手続きが必要だ。このホテル到着までのもろもろの手続きやハプニング、 体験も観光の一つと理解している(というよりさせている)。  バス停付近には大勢の中国人がたむろしていて、それぞれが大きな声で話しているので、 その騒々しさは並大抵ではない。

 バス案内所にて。
ホテル名をいうと係員がバス路線図を示しながら、
「エイル!」
「終点??」
「エイール!」
大きい声が返ってくる。負けずに大声で、
「Final Station、Final Stop????(そこは終点かって聞いてんだよ!のつもり)]
「おとーさん、8番バス停て言ってんじゃないの?」
がびーん。
中2の息子に鋭くたしなめられてしまった。

 ほぼ満員でバスは出発する。教えてくれた8番バス停は繁華街のど真中である。 10時にもなろうとしているのに、通りは人でごった返している。しかし、 方角がまったく分からない。山なら磁石を出して方向を見定めるのが原則。 しかし、ここは街中、かつ磁石はザックの奥の奥。目検討で、あっち、いやこっち、 通り名はなーに? 
 結局、通行人に尋ねて目的の大通りへ出た。
「薄暗いのでちょっと迷ったぜ。」
「この地図だと、この通りに面しているはずだが、、、」
「もう1丁裏に入ったらどお?」
「おお、目指すホテルが見えるじゃん。」
「うん、安いホテルは裏通りの法則か。」
 大通りから1丁入った、看板が小さくて分かりにくいホテルだ。ホテルからfaxで 送ってもらった地図はあてにならない(場合がある)。地図作成担当者の見栄で、 裏通りから大通り側に手がすべったようだ。

 チェックインを済ませ、部屋に入る。
「あれ!頼んでおいた3人分のベッドがないよ。」
さっそくフロントに電話する。
「ベッドが二つしかないじゃん、もう一つ持ってきてよ。」
間もなくドアをノックする音。
寝ぼけ顔のボーイが、ぼんぼんベッドとマットレスを持って入ってきた。
「えー、こんなのありー?」
「部屋の窓の外には、香港の夜景が美しく広がって、、」とはいかない。 隣のビルがまともに接している。このホテル、長逗留には向かない。

 ホテルに入って緊張が解けると、3人ともお腹がすいているのに気がついた。 荷物をおいて食べ物を買いに町に出る。世界の味、見慣れたマクドナルドの店構え。 味も値段も分かっている。ちょうどいい、決めた。部屋に持ちこんで腹拵え、さあ、 これからは体力、気力の勝負だよーん。まずは、気力充実の息子に、 その半分以上を持っていかれてしまった。

◆3月26日(火)香港発 20:25 UA001

◆3月27日(水)デリー着 0:20 YMCA Tourist Hostel Cum Programme Centre(デリー市内)


 朝食はお粥にしよう。ホテル前から2、3丁裏通りを歩く。探す時に限って、 なかなか見つからない。お店の前の呼び込み係がかなりうるさい。適当にすり抜け、 比較的人が沢山入っているお店を選ぶ。(人が入っている店は大抵美味しいか、 または安いはず)3人で朝食セットのA/B/Cを一通り頼む。しかし、 この店は安いけど、はっきりいって我々の口には合わなかった。 後で聞いたところによると、このインスタントラーメンと何やらの組み合わせは、 香港のトレンディな朝食だそうだ。
 しかし、ウン十年前カミさんと二人で食べた、 あの美味しいお粥はどこへいってしまったのだろう。


 私は市内見物を主張するも、息子/カミさん連合の科学館行きに勝てない。 ホテルから歩いて10分ほどの距離だ。歩道橋からそのまま建物の2階入口へ通じている。 がらんとして人の気配がないではないか。どうしたことだ?  近くにいた掃除のおばさんに一応英語で尋ねるが、話が通じている気配はない。 何かわからんけど、指1本立てて1と主張してる。ん、入口は1階つうことかな?  勝手にそう決めて、階段を降りると守衛さんがうろうろしている。 開館は午後1時だよ。そうか、入り口は1階、開館は1時ってえことだったのね。

 その足で海に向かう。昔々ロシア船に乗って二人でここ香港に来たときは、 この辺りに停泊していたはず。なつかしい。中国に通じていた鉄道の駅は、 超モダーンな建物に変わっていた。1時までは、たっぷり時間がある。 香港島へ行ってみよう。

 船に乗って香港島へ。現地のいろいろな乗り物に乗るのは楽しい。 香港島では市内見物を兼ねて、路面電車を利用することにした。 もちろん、眺めのよい2階の席を確保する。ずーっと外を眺めていると、 雑然とした繁華街が見えてきた。電車を降りたらここに戻ってこよう。

 終点で降りてぶらぶらと歩いてもどる。それはそれは、いろんな店が雑然と並んでいる。 こんな雰囲気が大好き。小さな路地に大型トラックや乗用車がぐいぐいと入ってくる。

 人込みを歩く時は横ならびでは歩かない。基本的にカミさんのショルダーバッグ (地図、現金等)は右斜めから息子が、息子のナップザック(衣類、傘等)は 私が左斜めから監視することにしている。3角形の法則というか3角関係というか。 私の懐中物(カード、パスポート等)は当然私が、はあ一応用心棒ですから。

ぶらぶら歩き回っているうちにお昼。
「飲茶にしましょう。」
「賛成。」

人が次々入っていく、それらしいお店。入ってみると適当に混雑している。 これは美味しいかも。しかし、、、味も濃いし、臭いもきつい。 香港人の味覚についていけない。道路の向こう側に見かけた お粥の看板のお店にすればよかったね。未だに美味しいお粥にありつけない。

 香港島から九龍へは趣向を変えて地下鉄にしよう。朝に訪問して肩透かしにあった 科学館へ急ぐ。科学館の内容はなかなかの充実ぶり。 その方面に興味のある人は一見の価値ありだ。今どきの施設らしく、 自分でいろいろ操作して楽しめるようにできている。観光客は少なくてゆったりと 見学できる。半日以上、興味のある子なら1日十分楽しめる内容だ。 現地の小学生が団体で来ている。

 一通り遊び回って、3階のレストランへ。コーヒー、ジュースしながら 1時間前ぐらいから降りだした雨が上がるのを待つ。
 やがて、青空が見えてきた。飛行機の出発時間まではかなり余裕がある。 空港まではバスが唯一の交通手段だが、時間の予測がつかない。 レストランの窓から見える空港へと続いている道は車でぎっしり。 ぎりぎりに行けば、この交通渋滞が心配だ。 「ぶらぶら歩いて行くってのはどう?」 徒歩約1時間の距離。カミさんの提案に乗ることにする。

 ホテルに戻って預けた荷物を受取る。道路沿いにあるお店のウインドウショッピング、 立派な建物を仰ぎ見る。ああでもない、こうでもないと道草しながら 30分も歩いたであろうか。と、入った横丁に粥の看板がある。

「寄ってこ。」
 店の前に突っ立ってちょっと迷っていると、人のよさそうなおじさんが 入りなよと手招きする。路地に面して古ぼけた丸テーブルが並んでいる小さな店。 先客がお粥をすすっている。メニューを見て、粥、海老、魚、鳥、野菜の キーワードで予想をつけてお願いする。これが、大正解。超超美味しかった。 この旅行中、食事のたびにこのお粥の美味しさが話題になったほどである。 香港空港までの1時間を歩くガッツのあるあなた、あなたはこの美味しさを 体験できますよ。

 高級アパートにはたいてい高い塀があって、そこにはなぜか豆電球が ちりばめてある。道路の正面を飛行機が建物すれすれに爆音を轟かせて 着陸していく。そろそろ空港が近いことが判る。空港着、約1時間の旅は大成功。 そして倹約したバス代は、ここで息子の大好きなハーゲンダッツの アイスクリームにとって代わられる。
 そして、香港からデリーへ、、、、、、、、、

★★★デリー★★★

 眠い目をこすりながら、空港に降り立つ。えーと、インドは難しい。 何が難しいかっていろいろ難しい。それに真夜中の2時だし。 何といったらいいか、不安いっぱい。眠い目を精一杯開いて、空港両替ではごまかされないように注意!神経はぴりぴり。 1万円を両替する。受け取った現金とレシートを照らし合わせてまずは一安心。
 昔々、エジプトの空港の両替所や国立博物館の食堂でつり銭を ごまかされたことがあった。公営といえども油断はできない。

 これから市内までは懸案のタクシーだ。案内窓口が複数あって、 みんな一斉に手招きしている。見渡してPublicと看板が出ている窓口に直行する。

デリーまでの値段を尋ねる。
「xxxxx.。。。」
「えーと、xxルピーね。」
出したお札2枚を受け取ったかと思うと、
「たんないよ!」
よくみると確かに足らない。
「えーー!」
一瞬間違えたかなと、カミさんが自分の財布をのぞき込む。
ここで彼女、はったと気がついた。
(いつのまにか一枚が小額の紙幣にすり替わっている)

「I paid○▼rupees!!」
「****○▼△******!!!、たんねえんだよ!」
それ、がんばれ、かあちゃん!
「I paid○▼rupees!!!!, I paid○▼rupees!!!!!」
「****○▼△****!」
「I paid○▼rupees!!!!!!,I paid○▼rupees!!!!!!!」
「**」
カミさんのものすごい剣幕に
おつりが返ってきた。
ついでに1ルピーおまけしてくれた。
あんたはえらい!

 半券を手に空港の外に出ると、真夜中というのに大勢の人、人、人。それも全部男ばかり。
「なんのこっちゃい、この人込みは。」
早速一人の若者がわれわれをタクシーに先導する。
なんて親切なんだ、この人は!
おーっと、ここでのこのこついていってはいかんのだ。
言われた窓口にレシートを出して、タクシー番号を記入してもらう。
なんだ、ここで支払っても良かったんだ。さっきの苦労は何だったんだ。
地球の歩き方に書かれている通りに忠実に辿ったが、案外無駄な努力も書いてある。

人をかきわけ、書かれた番号のタクシーに乗り込む。
ところが、変な奴が助手席に乗り込んできた。
これが有名なインドの意味不明な水先案内人。
「ホテルは予約したか。」
「いいホテルを紹介する。」
「とっておきのがあるのさ。」
「もう真夜中だ、あんたの予約したホテルはもう閉まってる。」
「あんたはだーれ? 何のために乗ってるの?」
とたんに話題をそらす。
「とにかくYMCAへいってよ。」
ふんたらくんたら、しつこく自分のお勧めホテルに行こうとしている。
しつこい、しつこい。
このカモ逃すものか。生活がかかっている。

市内への標識と違う方向にタクシーは曲がってしまった。
あれー?
乗ってからもう1時間はたっている。やたらに眠い。
こっちも頭が回らないから、
「YMCAへやってくれい。」
の一点張り。
やっとあきらめたのか、真面目に市内に車を乗り入れる。
と、今度はYMCAなんて知らないという。
地図を見せても、わかんないんだなあ。
もしかして、文字が読めなかったりして。

途中警官に聞いて、
2.3度同じ所を通りすぎて、
YWCAと間違えたりして、
やっとYMCAに着きました。
ああ、ごくろーさん。
インドは難しくて、疲れる。

 今日という今日は全員ほんとに疲れた。交渉役のカミさんよ、ごくろーさん。 宿に着いて、これまた、とてつもなくチェックインに時間がかかったが、 ようやく鍵をもらって、部屋に入りほっとする。ここはインド。 インド時間で行動しなければならない。お湯が出なくて 水シャワーもこの際だもの、許そう。


◆3月27日(水)デリー市内観光 YMCA Tourist Hostel Cum Programme Centre(デリー市内)


 ふと時計を見ると6時半、外ががやがやと騒がしい。鳥のさえずりも聞こえる。 生活のにおいがする。この時期、エアコンなしではつらい暑さというコメントも 見かけた。しかし、深夜の騒動疲れで熟睡することができた。 まだ、早朝のせいか意外に爽やかである。

 荷物を部屋のタンスに放り込み、持参した自転車用のチェーン錠をかける。 ホントに必要かどうかは判らないが、安心であることは確かだ。 道中錠を使ったのはこの1回だけ。
 朝食はパンとバターといり卵と2種類のカレー味の何か。それに珈琲、 紅茶の飲み物がつく。朝食付はありがたい。日本人は若い男性が2名のみ。 あとは欧米系とおぼしき人達が20名ほど。結構なお年寄りもいる。 YMCAだから若くないといけないというわけではなさそうだ。 皆、静かに新聞などを読みながら、ゆったりと食事をとっている。 せかせかしているのは我々3人のみ。ゆったりしようにも、 明日からの旅程を思うと、つい浮き足立ってしまう。いかん、いかん。 ここはインド。

 街へ出よう。お箸は必ず持っていこうね。ほんと箸はいいですよ。 サラダなどを食べる際、フォークではきれいに食べられません。そして地図と磁石。
 はじめに、市内観光すべく旅行社に出向く。さっそく、 例のよくわかんない水先案内人のおじさん達が寄ってくる。 振り切って目的の旅行社のドアを押す。現在9時。市内観光午前の部は朝10時からだが、 もう締切ったそうだ。担当者も10時にならないと現われないという。 あとから判った事(いつもそうだ)だが、観光バスが出るホテルに直接行けば良かったのだ。 しかたがない。

 時間つぶしに近くの中央公園へ。ちょっときょろきょろするだけで、 なんとか仕事をもらいたいと覚しき人々がわらわらと寄ってくる。 そのうちの一人の靴磨きのおじさんが、息子のスニーカーの前が剥がれているのを みつけて修理したいと迫ってくる。

「この接着剤なら完璧さ!」
「まあ待って、待って。暑いね、ここは。」
「デリーは初めてなんだ。ところでお宅の家族は?」
話をそらす。
「3人子供がいる、5人家族さ。」
「このお菓子、おいしいよ。」
はっかのお菓子をあげたら、
お礼のつもりらしく、強引に息子のスニーカーの修理をはじめる。
「もういいよ。」
片方だけで息子が逃げ出す。彼も生活がかかっている。
しかし、ちゃんとお金を払って修理して貰えばよかったかなと、ちょっと反省する。
、、、が、完璧なはずの接着剤はその日のうちにはがれた。

 次に近寄ってきたのはマッサージのおじさん。
やおら無言で手帳を目の前にふりかざす。
日本語でびっしり、効能書きが記してある。
日本人観光客が冗談で書いたのだろう(と私は推測した)。
手足のツボの絵があるが、何となくインチキくさい。
その下には丁寧に治療(?)を受けた日本人のサインが並んでいる。
しかし、はっきり、
「No, thank you.」

 暇つぶしを終えて先の旅行社に戻る。10時を回ってやっと仕事がはじまったようだ。 いろいろ高価なツアーを勧められたが、午後の短い市内観光だけにする。 待ち時間で折った立体折り紙をプレゼントしたら、すごく喜んでくれた。

 さあ、午後の市内観光まで街を歩こう。
道路はぼこぼこ、車が廃煙をまきちらす。
輪タクのおじさんが声をかけてくる。
日差しはきつい。
売る気があるのかないのか判らない店がまえ。
がらくたいっぱいの露天。
ロータリーは歩行者完全無視の車優先。
道路の横断は命懸け。
ひたすら市内をあるき回って12時だ。

 中心街にもどって旅行案内書お勧めのレストランに入る。この暑さで食欲がない。 食べられそうなサラダバーとジュース。サラダは危険と聞いたことがある。 すっかり忘れてしっかり食べる。これがのちの敗因の原因となったことはいうまでもない。

 食事を終えて、観光バスが出るホテルへ向かう。途中、銀行で両替しよう。 東京銀行だったらごまかされずにすむだろう。、、、と思ったのが間違いであった。 窓口の女性に書類を出すと、パスポートも出せという。空港では要求されなかったのに。 書類と日本円とパスポートはその女性から上司の机の上に。サインをもらい、 そのまた上の上司の机に。上司はおしゃべりに夢中で、なかなかサインしてくれない。 カミさん何回も催促に行くも、一向に書類は動かない。窓口の女性はカミさんと 上司の間にはいってオロオロ。ようやくサインをもらいほっとしたところで、 また別の窓口にサイン済の書類を出せという。ここでようやくルピーが手に入った。 その間30分以上か。空港ではたったの数分で窓口の一人が両替してくれたが、 この東京銀行では、いったい何人の人の手を経なければ両替ができないのか。 最後におまけとして、換算レートが空港よりもかなり悪かった。

 観光バスは、現地人約2名の遅れに何の説明もなく、30分遅れで出発。回った名所旧跡、 だれそれさんが荼毘にふされた場所とか、あたしはあまり興味がわかない。 暑い中、バスを乗り下りして歩き回る。しっかり食事をとっていないせいか、 ちょっとばて気味である。

 ところでちょっと言わせて欲しい。アイスクリームをなめなめ、 コーラ片手に観光客するのやめてよ。お土産を売ろうとまとわりつく物売りの子供たち。 そちこちにいる物ごいする人の群れ。回りの視線が痛い。ちょっとがまんすればいい。 アイスクリームもコーラもレストランでしっかりとればいいのだ。

 その夜はちょっと気が滅入って食事をする気になれない。夜一人で起きだして ホテルの回りを30分ほどぐるーっと回ってきた。すでに十時をすぎている。 道端で寝込んでいる人もいる。ふらふら歩いている人もいる。 街灯のない暗い道ではちょっと不気味な感じもする。 今夜はアイスクリームの件ですっかり憂鬱になってしまった。


◆3月28日(木)デリー発 7:40 UA001 ロンドン着 12:25 The Scotch House(ビクトリア駅近く)

 デリーの朝は早い。早朝4時なのでホテルのカウンターには人影もない。 真っ暗である。入り口近くにいた守衛のおじさんにチェックアウトしたいと伝える。
 彼はカウンター越しの部屋に入って係員を起こしてくれた。眠いだろーに。 しかし、係員は嫌な顔もせず淡々と応対してくれる。きちんとチェックアウト してからでないと、外に出してもらえない。レシートを見せると、 守衛のおじさんが鍵を開けてくれて無事にホテルの外へ。空港迄のタクシーの手配は ここの守衛さんの役目らしい。ホテルの前に駐車していたタクシーを呼んでくれた。

 タクシーは薄明りの街の中をばたばたとあえぎながら走る。2日前には、 あちこち引きずりまわされたせいで1時間以上もかかったが、今日はすんなり 30分ほどで空港に到着した。来るときのタクシー代金にチップをのせて差し出す。 文句をつけられたら、前回はこれでOKだったと居直るつもりで身構えたが、 満足のゆく金額だったらしく、運ちゃんうなずく。
 空港の建物の外には、相かわらずたくさんの人達が群がっている。彼等は皆、 ガラス越しにじーっと建物の内部を覗き込んでいる。建物に入るには パスポートを提示しなければならない。ということは、彼等は中に入れないということだ。

 搭乗手続きカウンターに並ぶ。ここまでに3回パスポートと航空券をチェックされた。 浅黒い超美人のカウンター係が、並んでいる人の切符をチェックする。 あんまり美人なので気になってしかたなかった。、でも、恥ずかしくて まともに見られなかった。ああ、惜しいことをした。私ってどうしてこう気が小さいんだろう。

 ちょっと早めに着いてしまったので、出発までの時間を少々もてあます。 余った細かいお金で水を買う。朝食前なのでサンドイッチとコーヒーで腹拵え。

★★★ロンドン---ヒースロー空港着★★★

 延々10時間のフライトは、 今回の旅行で最も長い距離であった。暑いインドから肌寒いイギリスへ、 体調がついていけるだろうか。
 地下鉄では周りの景色がみえない。少し高いけどバスで市内に入ろう。 確かに地下鉄と違ってバスの時間は不正確だった。定時より30分以上も 遅れてイライラした。しかし、乗ってしまえばそんなことも忘れて 窓にかじりつく。二階からみる市街見物はなかなかの味わいである。

 終点ビクトリア駅で下車。 地図をたよりに駅の裏手に出る。あちこちにBBの看板が見える。 地図を覗き込んで相談していると、親切なおばさんが目当てのB&B;を教えてくれる。 これでロンドンの第一印象はまる○。

 ベルを押すとむすっとした若い娘が応対してくれた。 一階のベッド3つの小さな部屋。 無意識に昨日のYMCAと比較している。 ちょっと狭すぎるのでパスの意思表示をする。
 2軒目は地球の歩き方でお勧めのB&B;。ところが、ここは狭い上に薄暗かった。

 通りはB&B;街で
「バストイレつき」の貼紙だの
「きれいなお部屋を用意しております」の看板だの
日本語がよく目立つ。

 ここは運を天にまかせ、最初のに決めよう。 さっきの娘が部屋へ案内してくれる。 ベッド3つと簡易シャワーの小さな部屋。テレビがあるので祐介は満足そう。 かわいい丸テーブルが部屋の真ん中を占領している。 部屋は白を基調にしているので、明るい。 こぎれいなうさぎ小屋の風情。

 荷物を置いたら、カミさんがインド後遺症でダウンしてしまった。 しばらく寝ているというので、息子と二人でビクトリア駅へ夕食の買いだしに出かける。 一応駅の周辺をぐるっと歩き回る。外国人が沢山いて、その中にいるだけでうれしい。 はあ?はい、私の方が「外国人」でしたっ。

 我々二人もそれなりにインド後遺症(?) で名物のフィッシュ&チップスは食べる気にならない。駅の3階、 再び味の判っているマクドナルド(芸が無いなあ)でサラダを、 さらに近くのテイクアウトのお店でカップ入りの暖かい野菜スープを買う。 あとは少々のパンを仕入れてホテルに戻る。今日は長旅とインド後遺症で全員あまり元気なく、 静かで質素な夕食となった。


◆3月29日(月)ロンドン The Scotch House(ビクトリア駅近く)


 B&B;だから当然朝食付です。狭い階段を降りて、地下の食堂へ。目玉やき+かりかり ベーコン+焼きトマトがこの宿の定番らしい。紅茶、珈琲は好きなほうを選ぶ。  かりかりトーストは美味しかった。トマトはいつも生で食べるので、 こういう食べ方は私の場合ちょっと違和感があります。なお、 珈琲も紅茶も美味しくなかった。特に、イギリスの紅茶は期待していたのになあ。

 カミさんはまーだ体の調子が回復しないので、ベッドでお休み。 まあまあ元気な息子と気力で動いている私の二人で今日はおでかけです。 ビクトリア駅を横目に見てバッキンガム宮殿まで歩く。日本人観光客がすでに たくさん集まっている。現地のおのぼりさんらしき人達と半々ぐらい。

 宮殿の横手に広がる公園を抜け、地図をたよりに大英博物館に向かう。 公園を手入れしているおじさんが今何時かと尋ねてくる。親父、 息子の変な日本人二人連れがめずらしいようだ。真面目に時間を教えてあげたら、 どっからきたのとか、どこへ行くとかいろいろ聞いてくる。 何とか対応したので暇潰しにはなったでしょう。英会話をありがとう。

 この際息子にナビゲーションをおまかせする。道路が結構入りくんでいるので迷いそー。 でもそれなりに地図を見ながら博物館へ急ぐ。

 優しそうなおばさんが前を歩いている。
ん、この人なら問題なさそう。
(え、何が問題かって?)
(いやー、その、えーと、、、)
、、、なにいってんだか。
「大英博物館はこの道でいいのですか。」
「多分いいでしょう。でも私も観光客なのよ。」
「なるほど。」
「だから、やめな!といったじゃないか。」
息子にたしなめられる。
確かに彼女も地図を見ながら歩いていた。
相手をみて話しかけなくてはいけないですね。
「はい。」

 ガラス窓職人が窓硝子のはめ込み工事中だ。
面白いので、立ち止ってしばらく眺める。
職人も張り切ってかっこをつけて、手際がいい。
振りむいてにやりとする。
「Good!」
(うまいもんだ!といいたかったんだが。)
というとうなずいたので、通じたのかな。

 ピカデリーサーカスを通り過ぎて、しばらく行くと右手にお粥の看板が見える。 二人とも例の香港のお粥が美味しかったので、すっかりお粥づいている。 今日の昼食はお粥にしようぜ。ついでに路地に入ると、そこは小さな中華街になっていた。 スーパーもあるので帰りに寄って食料を買っていくことにしよう。

 ほほう、なかなか優秀なナビゲーターですね祐介君。ほぼ最短距離で大英博物館に 着いたではないですか。

 大英博物館では、目当てのロゼッタストーンをみて息子大満足。現地の 小学生や中学生の一団が、メモを片手に先生の説明を聞いている。 ここが一番の人気コーナーです。入場者が多すぎると、守衛さんがこの部屋の扉を 閉めてしまいます。我々が、おとなりのミイラを見て二階に上がろうとするところで、 扉ががちょーんと閉められ、小学生達が騒いでおりましたっけ。

 帰りは先ほど目星をつけておいた、中華街のスーパーで買い物をする。 主な買い物は豆腐(お醤油で食べよう)、インスタントカップのおかゆ、 カップ麺、キーウイってとこかな。
 その足で先に見つけたお粥屋さんへ。一応その付近をぐるりと回って、 他のお店も調査する。お粥屋さんはここしかない。他の店と比較して値段もまあまあだし、 入ろう。20席ほどの小さな店。恋人らしい二人連れがいるだけ。しまったかなとおもったが、 その後2人3人とだんだん混んできた。はい、お味は香港ほどではなかったですが、 なかなかのものでしたよ。

 お腹もいっぱいになってピカデリーサーカスへ。日だまりに若者がはしゃいでいる。 今日はなかなかの散歩日和だ。昼すぎにホテルに戻る。カミさんは少し回復したが、 まだ外に出る元気はないようだ。買ってきた果物を食べながら「今日は安息日よ。」 と強がりを言っている。

 午後は再び息子と二人ウエストミンスター寺院へいってみよう。 川に出る前に路上マーケットがあって、八百屋さん、魚屋さんが店開きしている。 台所があればお魚を買って帰るところだが。試しに林檎と苺を買ってみた。 (林檎はまあまあだったが、苺は色はいいのにまずかった)

 ビッグベンとウエストミンスター寺院を見学する。中に入ってステンドグラスなどを 見上げていたら、神父さんに帽子をぬいでくださいねと注意される。 おーっとこれは気がつかずにごめんなさい。Sorryと言って帽子をとると、 ちゃーんとThanksと返してくれました。神を冒涜してしまったか、反省。

 ウエストミンスター寺院の前のお土産やさんに入る。いわゆる日本のお土産やさんと全く同じ。 絵葉書、Tシャツ、帽子、キーホルダーなどなど。二人で探したが掘り出し物は何もなかった。
 帰途、ビクトリア駅近くのマクドナルドで一休みする。ハンバーガーの1セットで息子とダベる。 私はぼーっとして通行人を眺めたり、入ってくる人の流れを見ているのが好き。 でも息子は余り興味がないらしく、しばらく休むと出ようという。んん、感覚の相違か。 窓際の老人が本を開いてひまそうに通りを眺めている。私はその雰囲気に近そうだ。

 角を曲がると本屋さんが目に入る。5%引きの看板がうれしい。さっそく中にはる。 イギリスには、確か精巧なペーパークラフトがあったはず。息子がハガキ仕様の小さな ペーパークラフトを見つけた。近くにいた店員さんにもっと大掛かりで精巧なものは ないか尋ねたが、生憎無いとの返事。結局、先に見つけたハガキの中から3枚を選んで買う。 なかなか渋い買い物ではある。  今日の天候は晴れときどきくもりのち小雨。ロンドンのいまごろの普通の天候のようである。

 夜の食事は買いおきのパンと果物ですます。明日になれば全員元気になるだろう。 (希望的観測ではあるが)


◆3月30日(土)ロンドン発 13:25 UA001 ニューアーク着 Howard Johnson Hotel

 朝食は昨日とまったく同じ。このB&B;の定番朝食らしい。息子はこのぐちゃぐちゃ トマトを美味しそうに食べている。今日は土曜日のせいか、 娘と一緒に学校お休みの息子らしき男の子が手伝っている。

 飛行機の出発は午後、それまでまだ時間がある。カミさんもちょっと元気を回復した。 散歩に出よう。天候は晴れ時々曇り。バッキンンガム宮殿で柵越しに衛兵が 行ったり来たりしているのを眺める。時刻は9時ちょうど。機械仕掛けの人形のような動き。 世界中から観光客が集まってくる。衛兵さんも張り切らざるを得ないだろう。

 もっと近くで衛兵さんが見られる場所があるという。自称イギリス通の カミさんに従って公園を横切る。時々出没するリスがかわいらしい。 広い芝生もよく手入れされている。首相官邸があるダウニング街を通り、 衛兵さんに会いにいく。一緒に並んで記念写真をとらせてくれる。 目深にかぶった帽子、すなわち人相が分からないので余計男前にみえる。

 そろそろ10時、チェックアウトの時間だ。早々に宿に戻らねばならない。 地下鉄で帰ろう。近くの地下鉄入り口を探したが、生憎工事中で封鎖されている。 次の駅まで足を延ばして乗って帰るか、あるいはこのまま歩いて帰るか。 このあたり、息子と昨日歩いたウエストミンスター寺院に近い。 ここから宿まで歩いて15分ぐらい、道も判っている。結局われらの定番、歩いて帰ろう。

 一昨日に見た、例のでっかい日本語の「お弁当」看板のマーケットを横目に、 昨日二人で一休みしたマクドナルドの脇を小走りに通る。 今朝、ミネラルウオーターを買った角のセブンイレブンを回り込んだところが ちょうどホテルだ。道を間違えることなく最短コースで帰ることができた。 宿には10時すぎに到着する。例の愛想のない娘から荷物を受け取る。

 空港への地下鉄は、ビクトリア駅構内の案内にそってエスカレーターで下りる。 ここも工事中らしく構内は大混雑。駅員がハンドマイクで乗客を誘導している。 券売機の使い方がよく分からないので窓口に並ぶことにする。行き先を告げて切符を買う。

 おもちゃのような地下鉄だ。ホームも狭いし天井も低い。チューブと言われている通り、 ドアは円い天井の形に合わせて上で湾曲している。入り口近くでおろおろしていると 閉まるドアに首を挟まれそう。釣り革はばね付の握り玉風。郊外に出ると 地下鉄は地上を走る。空港駅は成田と同様2つある。自分の乗る航空会社を確認して、 どちらかで下りる。

 日本の満員電車並みの押し合いへし合いしている空港待合室で、ふと気がつくと、 オーバーブッキングのためのボランティアを募集しているではないか。
5万円+ホテル+食事のボランティア募集! チャーンス!!
明朝ニューヨーク経由で、その日のうちにロスまで飛べればこの誘いにのれそうだ。 窓口で時刻表を丹念に調べて貰う。
「その日にロスに入るのは無理ですね。」
ロスのユニバーサルスタジオをキャンセルするのもくやしいなあ。 駆け足旅行の悲しさ、あたらおいしい話を逃してしまった。

 搭乗手続き。
「それは自分の荷物ですか?」
と尋ねられて
「?????あたりまえじゃん。ye〜s!」
「誰かに荷物を頼まれなかったか?」ということのようだ。
麻薬の運び人風? 
そんなに人相悪かったかなあ。

 あー、遂にかの有名なフィッシュ&チップスを食することなくイギリスを 後にすることになってしまった。
しかし、乗った飛行機は最新鋭機777だよーん。
新し物好きの祐介の興奮度はいっぺんに跳ね上がった。
各座席に液晶モニターがついている。
これはなかなか具合がいい。
しっかり、TV鑑賞マンさ。
座席もひろーいし。
新しいって気持いいね。
これで食事にけちをつけたりしたら、ばちがあたる。
 
★★★ニューアーク、ハリウッド★★★

 ニューアーク空港に降りたら、今日の懸案事項のホテル探しだ。 待合室のボードにホテルの一覧が表示されている。 その中から一番安いHowardJohnsonというホテルを選ぶ。 交渉は病み上がりのカミさん担当である。それでもこういう時には しゃんとしているので頼もしい。

 向こうさんの指示通り、空港を出た先にあるシャトルバス 発着所で待つことにする。ホテルの送迎バスが次々やってくるが、 われわれのホテルのはなかなか来ない。約一時間、だんだんいらいらしてきた。 私と息子はのんびりや、業をにやしてカミさんが再度電話をする。 安いホテルにサービスを期待してはならない。さらに30分ほどして ホテル名の入ったマイクロバスがやってきた。

 中には既に人がのりこんでいる。黒人の女性団体のおのぼりさんらしい。 わけも分からず乗り込む。人息れでむんむん、親子3人座席のすみっこに 入れてもらう。われわれをホテルに降ろして、彼等はニューヨーク見物に出かけたようだ。

 荒野の中にぽつんとあるホテル。でも、部屋に入ってびっくり、 これはいいや。めっけもんだね。広くてきれいで、いうことないじゃないですか。 バスタブも付いてて最高。

 しかし、カミさんに引き続き、今度は祐介の調子が悪いようだ。 インド後遺症二人目。一人私が元気のように見えるが、実はインド以来 ずーっと食欲がなくて、ちょっとふらついている。気力でがんばっているだけ。 ということで、全員食欲がない。ロンドンで仕入れたカップ味噌汁と、食べ残しのパンと、 日本から持参した緊急食料カロリーメートでの寂しい夕食となる。

 まあそれでも部屋が広くてきれいだし、しっかりお風呂していい気持ちになった。 明後日のユニバーサルスタジオのためにみんな英気を養おう。


◆3月31日(日)ニューアーク発 8:00 UA089 ロサンゼルス着 10:57 Badget Inn(ハリウッド)

 ホテルのカウンターで金額を確認し、署名をすませる。ホテルの前に シャトルバスが待っていた。ホテルサービスの一つである。前日に出発時間 (朝6時)を言っておいたのだ。4人の親子連れと我々の2家族が乗り込む。

 今日のフライト(ニューアークーロスアンゼルス)は国内便なので1時間 ぐらい前に搭乗手続きをすればよい。  空港のカフェテリア式レストランで朝食をとる。パンが苦手な息子はシリアル、 そしてちょっと塩味が効いたパンケーキ、いり卵、珈琲、紅茶にミルクなど、など。 珈琲はビールジョッキなみの大きな紙コップになみなみとそそぐ。二人分はゆうにある。 牛乳はいくらでも飲み放題になっていた。
  えーと、利用させていただいたトイレも奇麗で広い。おお、さすがアメリカ。 体調はいまいちだが、朝からいい気分だ。

 ロンドンーニューヨーク間の混みようとはうって変わって機内はがらがら。 3割ぐらいの搭乗率だ。シートベルトのサインが消えると、みんな思い思いに 席を変わって複数座席を占領する。イヤホーンは有料。天気は快晴。 スナック菓子や無愛想なサンドイッチが配られる。ロスアンゼルス到着少し前に、 機長からグランドキャニオンがよく見えるよとアナウンスがあった。はるか下の方に、 グランドキャニオン見物の遊覧飛行機が数機飛んでいるのが見える。恐ろしく視界がきく。

 ロスアンゼルス空港に予定通りランディングオン。無料のシャトルバスで バスセンターへ向かう、、、というよりも、駐車場が広すぎるので、 バスによる駐車場めぐりのサービスがあって、終点が一応バスセンター というだけのことである。最後のバスセンターで降りたのは当然われわれだけ。 バスなど利用する乗客はまれらしい。

 このバスの行き先が地図と照らし合せてもよく分からない。近くでだ べっている運転手に地図を示して尋ねる。直通はあと1時間は待たねばならないようだ。 10分程で出るバスに乗って一回乗り換えるのがいいだろうと親切に勧めてくれる。  ロス市内の教えて貰った停留所で下車。方向から察するにバス停は道路向かい側のはずだ。 とてつもなく広い交差点をぐるっと横断する。アメリカの広さをこの交差点で実感してしまう。

 車は頻繁に通るが、歩道を歩いている人はほとんどいない。 カミさんがしきりに車の発進音が静かなのに首をひねっている。 ここは本当に静かだ。赤信号ですーっと止まり、青信号ですーっと発進していく。 この青空の中に雑音がすいこまれてしまっているみたいだ。 バス停には待ち人1人とわれわれ家族だけだった。だんだん人数が 増えて5〜6名になったところでお目当てのバスがやってきた。待つこと30分あまり。

 教わった通りのバス停で降りる。しかし、地図と通り名とがなかなか一致しない。 どっちへいきゃーいいんだ。たまたま通りかかったおばさんに地図を示して 目的のホテルの場所を聞く。言われたとおり真直ぐに歩いて10分ほどで、 やっと予約してあるモーテルに到着する。

空港でバス停を探して、30分。
バスに乗ってバスセンターまで、30分。
バス待ちで、30分。
一応ロス市内までバスで、30分
降りたバス停で次のバス待ちで、30分。
再びバスに乗ってハリウッドまで、30分。
そこから歩いてホテルまで、10分。
(バス時間+バス待ち時間)x 3のインチキ計算で約3時間。
正味で2時間以上かかった。
アメリカは広くて疲れる。
いや、けちだから疲れる。

「ユニバーサルスタジオのチケットは10ドルだよん。」
「スタジオへの無料シャトル送迎付だよん。」
というのにつられて予約したモーテルだ。
入り口の管理人室の扉をあける。
「予約した安田from Japanですが。」
「あいよ」
ガラス窓越しに管理人が無表情で答える。
「あのー、割引券、、、」
「はい、10ドル割引券(33-10=入場料は22ドル)」
(その辺の観光案内所で手にはいるシロモノ)
「あのー、シャトルバス、、、」
「シャトルは故障修理で悪いが出せないんだ。」
「むっ、、、」
(えー!このやろー)
しかし、英語でどなる話法を私は知らない。

 渡された鍵を持って階段を上がる。ちょうど中南米系のメイドが部屋の掃除をしていた。 掃除のいいかげんさを見てるのがアホらしくなって、駐車場に面したベランダにでる。 子供が一緒で母親にまとわり付いて生活感がにじみ出ている。3人とも無言で中庭に 駐車している車をしばらくの間じーっと眺めていた。日本人と思われるバックパック姿 の女性2名が管理人に部屋の有無を聞いている。どうやら今夜は満員のようだ。 がっかりした様子で次のモーテルを探しに出ていった。

 部屋はアメリカだけあって明るくて広ーい。キングサイズベッドが3つどかーんとある。 でっかい冷蔵庫もお似合いだ。ちょっと埃っぽくて手入れが悪いのがいただけない。 しかし100ドル/2泊/3人ぽっきりなら、こんなもんかなと一人で納得。

 荷物を整理したら夕食の調達がてら街に出かけよう。メイドに教えてもらった スーパーマーケットへ向かう。途中にはセブンイレブンだの小さなマーケットがあるが、 それを横目に道なりに歩く。通りは広く、車は多いが人はほとんど通らない。 たまに数人とすれちがうだけだ。車がばんばん通るとはいえ暗くなったら歩きたくない道だ。 十数分歩いて、大きなマーケットRalphsが見えてきた。中に入ると大抵のものはある。

 夕食にはまだ早い。ついでにもう一丁隔てたハリウッド大通りへ回って見よう。  ううっ、これはなんだ。街並みがうら寂しいじゃないか。華やかなりハリウッド! ではなかったっけ。観光ガイドブックに記述されているような明るさは感じられない。 日本人観光客も時にすれ違う。ウン枚10ドルのTシャツのお店が幅をきかせている。


 帰りに再び例のスーパーに回って、夕食になりそうなものを物色する。 支払はカードですます。えーと、まずポテトサラダは味がタルタルソース風の甘い味付けで、 いまいちのどを通らない。りんごは形は悪いがまあまあのお味。 カップ麺は日本製につき期待通りで、ふるえるほどおいしい(ここアメリカでは)。 ブロッコリーは持参した投げ込みヒーターで茹でる離れ業を駆使して超OKの味。


◆4月1日(月)ユニバーサルスタジオ観光 Badget Inn(ハリウッド)

 朝食には再び芸術的な投げ込みヒーター操作で、茹であげたオクラとブロッコリーの おでましだ。お醤油をちょっとたらして食べれば、ほんとおいしい純日本味。
 モーテルの管理人室は鍵がかかっている。外のスイッチを押すと管理人が われわれを確認して戸の鍵を外してくれる。

ちょっと、とぼけて
「車で送ってくれるんじゃなかったっけ。」
「生憎車がこわれちゃって修理中なのよ。」
昨日と同じ答が返ってきた。昨日の管理人とは別人なので嘘ではなさそうだ。
「ところで明日、空港までのシャトルバスはあるの?」
「別の会社の車だから、大丈夫さ。」

 予約金3ドル、当日運転手に7ドル、計10ドル/人を請求される。 よくよく考えるとちょっと高いなあ。これだったら3人でタクシー1台分の料金かな。 もっと安い手があるかもしれない。今回は調査不足だった。明朝6時出発の予約を済ませる。

 今日はお上りさん観光コースの定番ユニバーサルスタジオ行きに決めている。 朝から夜まで目一杯楽しむつもりだ。自分でいけば時間が自由に決められる。
「夜遅くなったら、危険かな?」
少し心配だったので、管理人に尋ねる。
「バスは遅くまであるので大丈夫よ。」
ということらしい。

 ホテルの前の道を渡ったところがバス停だ。すぐに管理人が教えてくれた番号の バスがやってきた。学生らしい一団がぞろぞろ下りてきた。ホテルの前に高校があったっけ。  乗る時に、ユニバーサルスタジオに行くので、降りるバス停を教えて欲しいと 運転手に頼んでおく。バスの中の居心地は決してよくないが、3人連れなのでそれなりに心強い。

 運転手がユニバーサルスタジオはあのガードの向こうだと、指を差して教えてくれた。 道路を横断してガードを抜けると大きなユニバーサルスタジオの看板がある。 しかし、ここは単なる入り口で、本物は目の前の急な坂を上っていかなければいけないようだ。 坂道を登り始めた時に、シャトルバスが下りてきた。運転手が乗っていけと誘ってくれる。 お言葉に甘えて楽ちんをきめこんでしまった。

 ユニバーサルスタジオはディズニーランドとは違って、派手なアトラクションを 売り物にしている。Backdraft(工場火災現場の再現)やWaterworld(海を舞台の 大アクション劇)はその典型的なイベントとしてよく知られている。

 早朝組のわれわれは最初の入場者だ。まず、入場するときに貰うEntertainment という黄色の一枚ビラが最重要書類です。主なイベントの時間割が書いてある。 これと地球の歩き方に載っているイベントの内容を勘案して、 今日一日のスケジュールを決めていく。

 朝一番のりが効いてか、 どのイベントも待たずにすんなり見ることができた。祐介はバックトゥザフューチャーの デロリアンとかいう車に見とれている。なんてことはない、 ただの車に過ぎないと思うのはおじんの感想か。

 カミさんは昔の映画のシーンを 目の前に見られてちょっと興奮気味。男二人は英語の説明が聞き取れない上に、 映画を見ていないので、何の感慨もわかない。

 西部劇の寸劇を見せる劇場で ショーが始まるまで、チャップリンのソックリさんが観客にいろいろ仕掛けてくる。 日本人やアメリカ人はいたずらをされてもチャップリンと判ると大いに喜んだが、 中国人と覚しき人達は皆、いたずらされたことに怒っていた。チャップリンを知らないのかも。

 イベント一つ一つに迫力があって、ユーモアたっぷりで 多いに楽しんだ。はい、もちろんBackdraftやWaterworldも観賞させていただきました。

 昼食は、数年前サクラメントでレイチェルと食べたメキシコ料理ブリトーが 美味しかったのを思い出す。しかし、そーは問屋がおろさなかった。 ここはサクラメントでもないし、店も違うのだ。まずーい!インド滞在の後遺症の 後遺症で全員腹の調子が良くないことと相まって、半分も食べられずにごみ箱行きだ。 ご当地の人は同じものを美味しそうに食べているのは何故か。 食べられない自分達に腹が立ってくる。

 3時をすぎて、一通り見終わってユニバーサルスタジオはもういいや。 ちょっと早いが引き上げることにする。ゲートを出てシャトルバスを待つのもかったるい。 運動を兼ねて歩いて坂道を下る。

 ハリウッド大通りでバスを降りて、ぶらぶらとお店を見て回る。 チャイニーズシアターのスターの手型と足型を眺め、再び昨日食料を仕入れた マーケットRalphsによって夕食の品定めをする。えーと、このお寿司はどうかな。 のりまき寿司と果物を少々買う。
 えーと、お味は酢が全然利いていない小僧寿司の風情。しかし、 何といってもお米なのでおいしく食べさせていただきました。 いつまでたっても味覚は日本人状態。


◆4月2日(火)ロサンゼルス発 8:30 UA191 ホノルル着 12:27 Outrigger Hobron(ホノルル)

 ほぼ時間どおりにシャトルバスはやってきた。すでに女性が一人乗っている。 空港まで快調にとばす。30分ちょっとで空港に到着する。空港から宿までの 一昨日の長旅がうらめしい。
 ハワイまでは国内便なので、面倒な入管手続きは不要だ。 預ける手荷物は一切ないということは、込み合ったチェックインカウンターではなく、 直接出発待合室に行って搭乗手続きができるということでもある。 全席禁煙というのはやはりアメリカだ。

 みんな思い思いの格好で飛行機の出発時間を待っている。 椅子が高いので日本人体型である私としては、足がぶらんぶらんしてすわり心地はよくない。 見回すとエネルギー消費量の大きそうな人が多い。 中にはウエスト回りが我々3人分はあろうかという人もいる。 いつものことながら同じ料金というのが不思議である。

 機内食は、オムレットまたは果物どちらかを選ぶ。なぜだ!大根味以下のパイナップル、 それ以外はおいしかったです。

★★★ハワイ---ホノルル着★★★

 空港の外に出るとむっとする。さすがに暑い。空港前のバス停に直行する。 バス番号を確認して乗った市バスは、やおら反対方向へ曲がっていく。 運転手に確認するとやっぱし間違えている。良く確かめてから乗るよう! に注意され、乗り換え券を貰って次のバス停で下車する。

 道路を渡って逆方向のバスを待つ。バス停にはだれもいない。 見渡しても廻りには民家も見えない。バス停標識にはバス番号と行き先が表示してある。 ただし、向こうから来るバスの番号が逆光でやたら見えにくい。 番号を注意深く確認し、何度かバスをやりすごす。それにしても暑い。

 この人影もない交差点に忽然と新聞売りのおじさんが現われた。 ほ?派手なチョッキをきてるので交通整理のおまわりさんと間違えそうだ。 信号待ちで停車している車の間を往復しながら新聞を売る。そこそこに売れているようなので、 他人事ながらうれしかった。

 バスは空港を経由してホノルルダウンタウンへと入る。 しっかり冷房がきいて寒いぐらいだ。途中通過した大きな中華街、 時間があればゆっくり徘徊してみたいものだ。アラモアナショッピングセンターの 次の橋をわたってすぐの停留所で下車する。

 今回予約したつもりのホテルまでは歩いて5分とかからない。名前をいうと、 予約はされていないという。うーむやっぱし。  実は日本からインターネット上で予約したが、OKの返答メールがこない。 数日して2回目の予約をする。OKなら返事を欲しいとコメントを書き入れる。 それでもなんの返答もない。インターネット予約だと通常料金の25% 引きとなっている。何が何でも予約したい。3回目はインターネットで 予約したのに返事がないが、この日に行くので部屋を確保して欲しいとFaxを送る。  そして最後の手段を用意した。予約したフォーム画面と25%割引画面のコピーである。 カウンターで予約なんて受け付けていないといわれたら、 このコピーを示してごねるつもりである。

 カウンターでコピーを示すと、すんなり割引価格90ドルで部屋を用意してくれた。 私はこのホテルのマネージャーだ。特別にいい部屋にしてあげます。 と日系人らしい係員が片言日本語でのたもうていた。 38階海も街も両方見える見晴らしのいいキチネット付の部屋である。 ははーっ、ありがたや、ありがたや。

 部屋に荷物をおいてほっとする。さーて今日は思いっきり日本食しよう。 アラモアナショッピングセンターへ食料の買い出しに出かける。 マカイマーケットで軽い昼食をすませ、裏手のスーパーに回る。 久しぶりに御飯を炊こう。今日のおかずはアメリカに敬意を表してステーキがいいね。

 キチネットとはいえ、大きな冷蔵庫、電気レンジは4つ、 そして例のばかでかいオーブンがついている。ただし調理用具がほとんどない。 その上、器も2.3種類、鍋が二つだけというのがいかにもアンバランスだ。

 みなでわいわいしゃべりながら作る料理。久しぶりの手料理。 出来上がった食事を食卓に並べる。  いっただきまーす。やっぱしこの味キッコーマン。

◆4月3日(木)完全休養日 Outrigger Hobron (ホノルル)


 今日は観光の予定一切なーし。自前の朝食を済ませるともう何もすることがない。 邪魔しないでくださいね!のカードをドアのノブに引っ掛ける。昼過ぎまでTVを見たり、 窓の外を眺めたり、ベッドでうとうとしたり、思いっきり怠惰に過ごすんだ。 これまでの忙しい毎日が嘘のようである。

 昼食はここハワイにて、はずかしながら昨日仕入れてきたインスタントラーメンである。 しかし、こうして昼までぐだぐだしているとさすがに退屈してきた。 ということで下のレストランに下りて珈琲をいただく。

 さーて、運動不足解消に夕食の買い物にでもいこうではないか。 アラワイ運河をはさんで向こう側にショッピングセンターがある。 地図にそう書いてあるので、ものは試し、行ってみよう。 しかし、雑貨やさん主体の寄せ集めのお店が数軒並んでいるだけであった。

 ということで、その足で再び無難なアラモアナショッピングセンターへ向かう。 ちょうどその裏手辺りで交差点を渡る。ふと振り返ると、 かの有名なダイエーマークが見える。これ幸い、ちょっと寄ってみようというのが 幸運にも正解であった。何でもありの大スーパーマーケットだ。 アラモアナショッピングセンターのスーパーマーケットの数倍の大きさだ。 ここなら、日本食も選り取りみどり、沢山あるので見て回るだけでも楽しい。 夕食用にロブスターと魚、その他野菜、果物を購入する。

 ホテルのでっかいオーブンを存分に使う。やっぱし我が家の味がいちばんだ。 ふうふういいながら食べたロブスターとお魚は格別の味がした。

 夕食後、後片付けをすませ、ひとり夜の散歩にでる。外にでてホテルを見上げると、 明かりがついているのは1/5ぐらい。今どきはオフシーズンなのだろう。 他のホテルも似たりよったりだ。

 アラモアナショッピングセンターも9時近くになると往来する人もまばらになる。 寿司屋さんだのラーメン屋さんだのが賑やかなだけだ。明るい店内を覗きなが らぶらぶら歩きまわる。  明日は帰国、あっという間にすぎたような、けっこう長かったような複雑な思いが あたまの中を駆け巡る。


◆4月4-5日(木)ホノルル発 9:05 UA821 成田着 13:00

 朝食は定番のあたたかいおじやを作る。これがあれば何もいうことはない。

 荷物をまとめて下に降りると、HISのワッペンをつけた日本人団体さんがたむろしていた。 私たちはカウンターで支払内容を確認し、署名してチェックアウト完了。 そうこうしているうちに団体さんは潮が引くようにいなくなってしまった。

 ここで、ホテルチェックインとチェックアウトを復唱すると
1 ホテルに着いたらまずカードで支払いたいと意思表示する
2 ホテル側はカードを受取って金額を入力したレシートで確認を求める
3 OKであればうなずく(この段階ではまだサインする必要はない)
4 カードと部屋の鍵を受け取る。
5 宿泊する。
6 チェックアウト時に、電話料金やTAXを含めて改めて請求金額が提示される。
7 請求金額を確認し、カードを差し出す。
8 所定のカード操作でレシートが打ち出される。
9 差し出されたレシートの金額を再確認する。
10 所定の位置にサインをしてチェックアウト完了。
 この時間まだ薄暗い。レストランの無料の珈琲を飲みながらのんびりしているうちに、 タクシーがやってきた。空港までぽっきり12ドル+チップ少々。ホテルでタクシーを 頼む(20ドル前後?)よりも安い。昨日、観光パンフレットで探して、電話予約した。

   UAカウンターは出国審査も兼ねていた。だめもとで一応窓際の席をお願いする。 「みんなそういうのよ。」といった感じの無愛想な応対だが、 ちゃんと窓際の席を確保してくれた。ところで、もしや、オーバーブッキングで ****を期待するがその気配はない。事故もなくここまでこれたのだから、 これで良しとしようではないか。

 待合室の中は日本人がほとんどで、お土産を抱えた人がたーくさん。 出発時間になって超判りやすい日本語なまり英語の案内アナウンスが響きわたる。 おりょ??我々の名前が呼ばれているよ。カウンターに出向くと、 わーお、わーお、わーおー。神様は私たちのそばにいた。

 座席は螺旋階段を上がって2階のこじんまりとした小さな部屋、4x4=16席ぐらいかな。 2、3名を除いてほとんど日本人だ。しばらくして出た昼食、当然幕の内弁当を所望する。 洋食メニューも内容を見るかぎりではかなりのものらしい。 しかし、スチュワードは限りなく愛想が悪い。 ここに座っている人はみなエコノミーからの繰り上げ客だからなー。 しかし、やっぱしうまかったぜ、幕の内弁当さんよ。
 
「えっ?スカイライナーだって。」
「今までの貧乏旅行は何だったの?」
「急行!」
「スカイライナー!」
「急行!急行!!」
、、、
、、、
電車の心地よい振動で、ふーっと眠りに入る。
、、、
、、、
さあ、旅の思い出を枕に、
、、、
、、、
いい夢でも見ようではないか。

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